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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年05月19日 (Sun)
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2011年06月20日 (Mon)

  読み切り単発作品。

 傾向:オネェ攻め×オヤジ受け(双方オッサン同士)



 

拍手[6回]



カウンターたった5席の小さいスナックに男が現れたのは、22時を回った頃だった。
 店のママと顔なじみなのか、2、3言葉を交わしながら中へ入ってくる。
 と、一番壁際に居たアタシの顔を見て男は明らかに不快な顔を見せた。

「ちょっとママ、ここは俺の……」
「さっきまで混んでたんだもの。詰めて貰わなきゃお客さん座れないでしょう?」

 アタシを指差しながら抗議した男が、あっさりママにやりこめられる。
 意地なのか、男はアタシのすぐ隣の椅子に腰を下ろした。

「こんばんは」

 一応礼儀として声を掛ければ、無言で頭を下げてくる。
 その顔はどう見ても、アタシに対していい感情を持っていない――ていうのは、席の件だけじゃないことが読み取れた。

「いつからここ、化け物入れるようになったんだか」

 大きな独り言を漏らす男に、ママが何か言いかけたのをアタシが片手を挙げて制した。
 わざと顔を覗きこむように近付いて、男の目を見つめて低めた声を出す。

「悪かったわねぇ、化け物で」

 威勢が良かったのはどうした事か、男は目を見開くと完全にアタシに背中を向けてしまった。



 ***


 酒が進むうちに隣の男の姿勢がだらしなくなり、時々アタシの右肘に男の左肘が当たる。
 そこに来て漸く、男がアタシが座る左の端席に拘っていたのか合点がいった。
 男は左利きで、左に箸を持ってママ自慢の漬物を食べている。
 その度に、アタシの右肘とぶつかるのだ。

「触るな、化け物」
「どっちか言うとそっちが触ってるんだけど?」
「うるせぇ」

 ママが小さくごめんなさいね、と謝る声に苦笑を返しながら、だんだんこっちに傾いてきている男の肩を押し返す。
 ヨレヨレのスーツに、皺だらけのYシャツ。
 指輪もしてないところを見ると、独身の上にだらしなくて到底モテるタイプじゃなさそうだダメ男。
 いい加減この手のタイプにときめく歳でも、まして世話を焼きたくなる歳でも無いが、何かざわめくのって言うのは……生まれ持った性、ってヤツかしら。

「英二さん、そろそろその辺で止めといたら?」
「あー? まぁだ飲むぞ俺は」

 薄くなった頭頂部を見降ろしながらグラスを煽る。
 口から出るのは職場の不満と、部下への愚痴ばかりの話にいい加減うんざりしてきたところで、不意にアタシの携帯電話が鳴った。
 
「あら、マミちゃん。ごめんなさい、もうそろそろ帰るわよ」

 アタシの電話に、男がなんの興味を引かれたのか振り仰ぐ。
 構わずアタシは可愛い娘に向けて、話を続けた。

「大丈夫よ、ちゃんと帰るってば。明日二人でお洋服見に行く約束覚えてるって、パパは記憶力いいのよ?」

 ママにお勘定を頼もうと腰を上げた瞬間、ずっと男と当たっていた右肘を掴まれた。
 通話を切ると、男が食い入るようにアタシを見つめてくる。

「化け物……今の、相手は」
「人間の娘よ、ついでにアタシの可愛い一人娘ですけど何か?」

 何に驚いているんだか、男はアタシを凝視して固まってしまった。
 約束した以上、アタシはそろそろ帰らなきゃいけない。
 ママにタクシーを頼んでもらい、店を出る支度をする。
 初めて来た店で雰囲気は良かったけど、この男とはもう二度と合わないだろうと思って、アタシは間抜け面でアタシを見つめる男の頬に軽くキスをした。

「オッサン、こんなとろこでクダ巻いてないで家帰りな」

 アタシも大概オッサンて言われる年齢だけど、ここは痛み分け。
 ようやく状況に気付いた男が大声を上げるのを背後で聞きながら、アタシは店のドアを開けた。



「待て! 化け物!」

 タクシーに乗り込む寸前腕を掴まれて、アタシは思わずよろめいた。
 わざわざ追いかけて来て息の上がっている男が、アタシを睨みつける。
 微妙に人通りの多い場所で騒ぐのは、さすがに周りに迷惑になると思って、アタシは仕方なく男の腕を逆手で持ち返してタクシーに引きずり込んだ。

「三鷹までお願いします」

 無言で発進した運転手と、悠然と座るアタシを交互に見つめて男が口をパクパクさせる。
 面白いのでそのままにして、アタシはかいがいしくシートベルトを付けてやった。

「呑み足りないなら、ウチで呑めば? オジサン」
「てめぇもオッサンだろうが! 化け物! 何する気だ!」
「何もしやしないわよ、こっちにも色々好みも注文もあるの」
「いいや、こうやって人間を攫って喰う気なんだろう!」

 ……なんだか色々面倒臭い男だわ、と思いながらも聞き流す。
 そこまで言うならお望み通り食べてあげたら、満足するのかしら。
 食あたりしそうな顔を見つめて、数秒考える。

「ないわー」
「あああ!?」

 とりあえずマミちゃんには、煩いオマケがいることだけ先に伝えようと、アタシは携帯電話を取り出した。
 明日の予定がキャンセルになったらごめんね、と内心呟きながら。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 実験作品(笑)
 19日がロマンスの日と言う事で…何かロマンスを、と思った矢先に、「オヤジ攻めについて考える」「オネェ攻めについて考える」という会が催されまして。
 そこで出た究極の設定が、こちらでありました(笑)
 50代オネェ攻め×40代後半~50代オッサン受け。
 見た目はいかりや●介×志●けん、とか色々言ってたんですが…時間が無くて中途半端なのが残念です。
 乙女度の低い話で、本当に申し訳ないですが、きっとこの二人は仲良くなると思います(笑)



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