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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年05月18日 (Sat)
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2011年06月20日 (Mon)

  6/26発行本に関連した、通常のうちのシリーズの皆さんの越境番外編です。
 本に絡めたエピソードでもありそうでなかったりという、お話。

拍手[3回]



「繁一さん、さっきの誰?」
「お客様だ、ほら……この先にある歯医者の、院長先生」
「医者? あれが?」

 到底そうは見えない風貌の男をちらりと伺い、藤野和真はグラスの水を口に含んだ。
 窘めるでもなく苦笑している目の前の同居人――兼、恋人が、小さく頷く。

「おれも驚いた」
「だよな、あれは驚く」
「腕はいいみたいで評判だから、何かあれば行ってみたらどうだ」
「生憎歯はどこも悪くねーよ」
「健康だもんなぁ、お前」

 若いからな、と返しかけた言葉をぐっと飲み込む。
 冗談で口にしても、最近この年上の恋人はすぐに真に受けて落ち込む傾向にある。
 どうしようもなく埋まらない歳の差と言うのは、和真にしてみればもう諦めの極致であり目を逸らしようもない事実でしかないのだが、意外にこの50歳を過ぎた男はそこを気にするらしい。

「繁一さんだって健康だろ、夜もまだまだ元気だし」
「お、おい! バカ!」

 昼間で女性客の多い周囲の席を見渡し、慌てたように繁一が声を上げる。
 そっちの方がよっぽど目立つだろうと内心思いつつ、和真は頬杖をついて繁一を見上げた。
 手拭きで勢い額を拭おうとしたのを、悪さを見つかった犬のように動作を止めて固まる姿に、つい噴出す。
 そんな事も慣れた事だというのに、一応気を使う所が、大好きだ。

「ほら、ハンカチ」
「悪いな」

 汗と特有の匂いのするオーデコロンの香りのするハンカチを受け取り、和真はそれを一度胸の前で握りしめた。

「どうした?」

 メニュー表を眺めながら、こちらを伺う繁一に笑い返す。

「どうもしない、何食べよっか」
「カツカレーがいいんだが」
「……なんでそう脂っこいの好きなんだよ、オッサン」
「和真の為にいつまでも肉食系、ってヤツか? それでいたいんだが」
「ばーか」

 代わりにサラダが付くセットを頼む事を決め、和真は振り返り店員へ声を掛けた。



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ⇒次回、ラスト




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