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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年05月19日 (Sun)
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2009年07月03日 (Fri)

 続編です。 何も進展してない、続編です。 

拍手[1回]




  追い掛けるのは、慣れてる。

「っ、はっ、待て……っ!」

 振り向いてくれないのも、知ってる。

「そのっ、脚力を!」

 ――だからって、全力疾走はないだろあの野郎!

 来月の校内陸上大会で、クラス対抗リレーのアンカーに推薦した俺の誘いを断る男を、今日も俺は追い掛け回していた。

 ***

「はい、お疲れ」

 結局追い付けず、諦めて中庭の芝生に寝転がっていた俺に、アイツは冷えた紙パックジュースを二つ持って現れた。

「……ありがと」

 額に感じる冷たさが気持ちよくて、思わず眼を閉じる。
 爽やかな風が、ほてった体には心地いい。

「何そんなに、ムキになってんだか」
「別にムキになってない」
 せっかくの気持ち良さを打ち砕くアイツを、睨み上げる。
「じゃあ、なんでそんなに俺に走ってほしいワケ?」
 素で不思議そうに尋ねて来たアイツに、俺はふいっと顔を背けた。
「……俺が、見たいから」
「は?」
「おまえ、来年またいないかもしれないし。転校して」
「あー……、つまりは何か。佐藤クンのワガママか。委員長命令とかじゃなく」
「そうだよ! 悪いかよ! 小学校の時、リレーで優勝したおまえ忘れられないんだから! もう一回見たいって、思ったっていいだろ!」

 逆切れ気味に喚いた俺に、アイツは呆れた溜息をついて、肩を竦めた。

「それって、おまえを忘れた罪滅ぼししろって意味?」

 その言葉に、絶句する。
 そんな気、全然ない。
 本当に、純粋に、走ってる姿がカッコよくて。
 小学校の時の、ビリから追い抜いて優勝した光景が、忘れられなくて。
 ただそれだけなのに。

「……ちょっと、だからその顔止めなさいって。ハイハイ、俺が言い過ぎた」
「違っ、俺が……ッ」
「いーからいーから。佐藤が見たいなら、見せてあげるから。いくらでも、俺の勇姿」
「え? ほん、と?」
「塩谷、ウソつかなーい。なんなら、優勝とか約束しちゃう?」

 悪戯っぽく笑う顔は、あの頃と変わらないと思った。
 いつも、結果的に俺の願いを叶えてくれた、俺の憧れの人。
 ――大好きな人。

「……ヤバイなぁ」

 ポツリと呟くと、塩谷は掌で眼を覆い隠し、空を仰いだ。

「泣き顔キタと思ったら、その嬉しそうな顔もクルわ」
 
 首を傾げる俺をよそに、しばらく塩谷はヤバイと繰り返していた。


-------------------------------

 リクエストを頂いて書いた、続編。
 思いつきで最初書いたので、慌ててつけた攻と受の名前。
 受:佐藤、攻:塩谷 ……さとうと、しお。


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 萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。