オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「ラジオネーム『ツンデレ眼鏡追いかけ隊』大学生男子からのメール」
ブースに響く若干間延びした声に、俯きがちに笑いながら西村慶太郎は同じ内容のメールへ目を走らせた。
「『YAMATOさん、シマネコさん初めましてメールします。俺の好きな相手は、とにかく俺の事をガン無視くれてます、ここ何日もさっぱり連絡もなけりゃ構内で顔を見ても素通りです。別に喧嘩はしてないです。ただちょっとだけ、俺じゃなくってそいつが仲良くしてる子の事ばっかり構ってるのを責めただけなんですけど。これって俺の心が狭いんですか、相手の心が狭いんですか? 教えて下さい』……だと。どー思うよ」
「そうだな……」
顔を上げたYAMATOこと山本冬耶と目が合う。
何を言うのか試すかのような表情に肩を竦め、西村は一呼吸ついて思った事を言葉に変えた。
「友達と恋人って、比重が違うのは当然だとは思うんだ。この彼としたら、今一番大事にして貰いたいのは自分なんだろうけど、きっと相手の子はまだそこまでじゃないんじゃないかな」
「なるほどな。、まぁこの文面だけじゃわかんねーけど、こいつが名前通りただ追っかけてるだけかもしれないしな。て、うちのシマネコ先生は言ってるぞ」
腕を組んで踏ん反り返った山本に苦笑し、シマネコと呼ばれた西村は緩く首を振り返した。
「でも仕方ないんじゃないかな。例えばだけど、俺達みたいに知り合ったのは10年も前でも、その間全く別々の生活をしてきたから、交友関係はそれぞれ違うわけで。その知らない時間に知り合った人までは、全部気にしてられないと俺は思うけど」
「いんやー、俺は超気にするね。つーかそうだお前! あの宅配の兄ちゃんなんだよ、俺こないだ嫌味言われたぞ」
「ちょ……! そんな話後でいいだろう!」
「気になってんだから仕方ねーだろ」
「また怒られるぞ」
諌める西村の声に同意するように、ガラスで仕切られた向こう側にいる男が大きく頷いている。
見えないのをいい事に唇を尖らせ不満をため込んだ顔で、YAMATOは手の中のメールをくしゃりと丸めた。
「じゃ、今夜の議題それな」
「……わかったよ、ところでメール」
「ああ、そうだったな。聞いてるか? 大学生。お前さん、もうちょっと辛抱しろ。ただ、今日1日な。何日無視されてるのかわからないが、今日までだ。で、明日、何がなんでもアポとりつけろ。ぼちぼち桜咲くしな、花見でも誘っておけよ」
「そうだね、頑張って」
「あとな、心なんてのは狭くていいんだよ。無理矢理広げるな」
「それはちょっと……」
西村が言いかけたところで、ブースからCMへ入る指示が出る。
言葉を呑みこみ、番組はCMへと切り替わった。
(心狭くていい、か)
自分には無い発想と、発言。
親交が深まり今まで知らなかった山本冬耶という男の色々な面が見えて来た。
一口で言うほど10年というブランクは、浅くも短くもない。
顔の広い仕事をしている山本に関わる人間全てに対して、いちいち気にしていられないと思ったのは半分本音だったが、気にしてもいいのだろうかと思い直す。
彼の携帯電話が鳴る度、局内で誰かに話かけられる度。
本当は口から出かかる言葉を、いつも呑みこんで来た。
その言葉を、当たり前のように彼は口にするのだけれど。
「おまえも、もーちょと俺を気にしてくれよ」
「え?」
CMが明ける数秒前に降って来た言葉に、目を丸くする。
「結構おまえ、俺の事放し飼いだぞ」
「そう、かな」
「そうなの」
スタッフのカウントする声に、二人とも表情を引き締める。
切り替わる直前、西村はじっと山本の目を見つめて呟いた。
「じゃあ、そうする」
短く伝えた言葉に、珍しく山本が驚いた顔を見せた。
その事に小さく満足げな笑みを零しながら、次の進行を促すのだった。
⇒続
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。