オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
そいつに気が付いたのは、撮影の合間だった。
地球を守る正義の味方の活動を報告する、ちびっこからママまで虜にする番組。
俺はどちらか言うとママ担当で、メインターゲットのガキには評判が悪い。
が、そのガキはずっと俺にガンを飛ばしていた。
「ナオキさん、子供にメンチ切るの止めて下さいよ」
「売ってきたのあいつだ」
「目的はお前じゃなくて、お前が食ってるコロッケパンじゃないか」
役を離れてもリーダー気質なレッド役のタローさんに言われ、俺は手にしていたパンを見つめた。
年齢は2歳しか違わないのに、タローさんは立派な貫禄がある。無駄にこう、反発したくお年頃の俺とは折り合いが悪い。
ブルー役のミドリ(ややこしい)は、そんな俺らの仲裁役だ。
「えー、俺の昼飯」
「正義の味方にあるまじきですよ」
「正義の味方だって、腹も減るし、クソもする」
「そうあの子に言って来い」
タローさんに頭を叩かれ、俺は食べかけのパンを持ってガキに近づいた。
薄汚い、ガリガリの細いガキ。
野良猫か野良犬のような目で俺を見上げるガキに、俺も睨みかえす。
黙って差し出したパンに、そいつはむしゃぶりついた。
「おまっ、手は食うなよ!」
まさに、餓鬼。
それが、ツトムとの出会いだった。
***
ツトムは、よくロケをする番組上は俺らの基地になっている場所のそばに住んでいた。
普通子供がこの手の番組見学に潜り込めば、ソッコー追い返されるのが、ツトムは特別だった。
その風貌と無口さ。俺たちは、スタッフも含め、誰もツトムが喋るのを聞いた事が無かった。
「また邪魔しに来たな、ガキ」
休憩時間、地面に座り込んで黙って動くスタッフを眺めながら支給弁当を食べる。
「ほら、ハンバーグやるからポテサラ寄越せ」
首を振るツトムに、無理矢理ハンバーグを渡して、サラダを奪い取る。
無言で睨みつけるツトムに、俺はデコピンをかました。
「お前な、たまには喋れよ」
無言で首を振るツトムの格好は、真冬なのに今日も薄着だ。
擦り切れた肘のところから覗く、細い腕に叩かれた跡があるのを知ったのはいつだったか。
それとなくスタッフが探ったツトムの家庭環境は、予想通りの結果だった。
他人が口出すことの出来ない事情とわかりながら、さすが毎年正義の味方を送り出す集団。
――ツトムが足を引きずって現れた日、俺達は児童相談所に通報した。
あれから半月、一時保護期間を経て、ツトムは親元離れた遠くの親戚の所へ引き取られることが決まった。
「お前さ、おっきくなったら何になりたい?」
二つ目のハンバーグを食べきったツトムは、俺をじっと見上げて来た。
しばらく俺を見ていたあと、ツトムは立ち上がり、動き回るスタッフや遠くのキャストを指さした。
「せいぎのみかた」
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萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。
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