オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
ゴーヤが、嫌いだ。
苦いし、青臭い。特に進んでも、好んでも食べたいと思わない食べ物だ。
だが一度だけ、生涯これ以上にない料理と認めて、食べた時がある。
***
「なんでこの美味しさが、キミにはわからんかなー」
「わかんねーよ、苦いし旨くねぇし」
「それは、今までの調理が下手だったんだよ。僕が美味しいの食べさせてあげるから」
居酒屋のバイト仲間で、南の地方出身のそいつは、いつも俺にそう言っていた。
俺は頑として食べる事を拒否して来たんだが、あいつも同じくらい頑固で食べさせる事を譲らなかった。
*
あいつが食べさせるから来いと言うので、嫌々ながらビールをぶら下げて部屋を訪ねたのは、真夏日で最高気温をマークした日だった。
細い背中が見える、タンクトップ姿で台所に立つあいつを眺めながら、妙に落ち着かなかったのを覚えている。
首筋に張り付く、襟足の長い髪と、肌のコントラスト。
コンロの熱気で、流れる汗。
馬鹿みたいに俺は、それを黙って見ていた。
「な、美味しいだろ?」
箸を付けた俺に、期待に満ち満ちた眼を向けたあいつの顔が、忘れられない。
初めて、ゴーヤチャンプルが、美味いと思えた。
それは多分に、あいつが作ったのが最大の理由だなんて、本人は気付きもしないで。
俺も知らせる事なく、ただ素直に味が口に合う事を、褒めた。
すごく、すごく美味い、ゴーヤチャンプルだった。
ゴーヤは嫌いだ。
あいつと食べた、あの日を最後に俺は、ゴーヤを食べるのを止めた。
あいつが、故郷に帰ると言ったのは、その翌日だった。
朝まで、酒を飲み、騒いで、散々盛り上がりた揚句の、一言だ。
「父親がね、倒れてヤバイんだって。早くって言われてたんだけど、キミとの約束守らなきゃって思ってさ。――ありがとう、仲良くしてくれて」
美味い、と食べていた皿に残っていた冷めたゴーヤが、途端に口の中で苦くなった。
それから一切、俺はゴーヤを食べていない。
夏が来ると、スーパーであの緑のイボイボを見ると思い出す、苦い思い出だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
結構初期の頃に投稿していた、お話です。
書いたのも季節外れですが夏場で、なんか熱気とか汗とかそんな空気を孕んだのを想像してました。
この頃から、着実にじわじわと今のようなニアフォモスタイルに緩やかにシフトチェンジしたような気がします。
ゴーヤは突っ込むだけのものじゃない、と思って書いたのは秘密です(笑)
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萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。
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