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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2011年02月01日 (Tue)

  傾向:ひねくれ受/包容攻
 

【問題】

 受けが卑屈で捻くれてる話をお願いします!攻めはどんな人でも自由です。

拍手[8回]



 食堂の二つ向こうのテーブルで、盛り上がる男女はうちの部署の連中だ。
 中心にいるのは、営業成績トップの男。
 そして今朝、次期のグループリーダーに指名された男だ。
 わざと離れて座るのは、意地というより…関わるのが嫌だったからだ。
 どうせ俺は、人望も無ければ成績もパッとしない。
 あいつはを羨ましいなんて、思わない。
 高みに昇れば、責任ばかり増えて面倒だ。
 同じ給料を貰うなら、例え成績が悪くとも適当に手が抜ける今の位置がいい。

「小原」

 いちいち呼ぶなよ、俺はおまえの取り巻きになんてなりたくない。
 笑顔で持て囃す真似なんて、したくない。
 無視を決め込み、カツ丼に箸を付ければ、頭上に影が出来た。

「今夜、みんなが飲み会を開いてくれるっていうんだ。おまえも来ないか?」
「断る。ペットが腹空かせて待ってるんだ」
「そうか」

 そんなポーズは要らない。
 残念そうに肩を竦める男を見上げ、丼を置く。
 同期でデスクが向かい合わせ以外、共通点が何もない男。
 睨みつける俺に構わず、奴は向かいの席に椅子を引いて座り込んだ。

「だったら、明日の夜は?」
「……猫がいるって、話しただろ」
「うん、だからおまえの家に行く」

 唐突な申し出に、瞬間的に反応が遅れた。
 また俺に構わず立ち上がり、奴は元の席に戻って行った。
 その背中を眺めながら、自然と俺は箸を握る手に力を込めていた。

 ――その他大勢の一人のくせに。

 沸き上がる言葉を、何度も飲み込む。
 あいつは、俺なんて見て無い。
 こんな俺に構うのは、ただの自己満足だ。
 あいつだって、そう言っていた。
 昔、傷つけて仲違いした『友人』に似ていると。
 だから、放って置けないと。
 あいつのそんな感傷に付き合う義理なんて無い、俺は別にそんなものを望んでいない。

「……くたばれ」

 結局同じ轍を踏むんだ、おまえなんて。
 真っ平ごめんだ。
 すっかり冷めたカツ丼を掻き込み、俺は食堂を飛び出した。

 それでも、帰りに床を拭く物を買いに行くかと、考える。
 聞こえた会話で知った、あいつの好物を思い出そうとする。
 明日の夜を、今から心待ちにする自分が、……大嫌いだ。



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 個人的には非常に、この手のタイプをほだす瞬間が好きなのですが。
 私の書く話ツンデレ率…というか、ツン率が高いとある筋から言われまして。
 やはりどこかで、捩じ伏せるのもいいけど手懐けたい心理が働くからでしょうか。
 卑屈な人程、アホみたいに優しくしてあげたい。
 そんな気持ちで書いたお話でした。





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