オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「はぁ? マジで男の子?」
頭一つ高い位置から見下ろす男達に、裕太は震えながら頷いた。
文化祭の出し物で、裕太は女装メイド姿を強制させられていた。
開店と同時に、裕太のたどたどしくも初々しい接客に客が集中。いつも虐めるクラスメートが、必死に客からガードするという攻防が繰り広げられたくらいだ。
どうにか昼のピークを過ぎ、裕太がフラフラとトイレに向かったところで、見知らぬ男二人に囲まれたのだった。
「うわ、腕細ッ。肌もツルツルじゃん」
「ヤッ…や、ですっ、ンッ」
「反応イイなぁ、……もしかして慣れてる? さすが男子校」
個室の壁に縫い付けられるように腕を押さえ込まれ、男達に身体をまさぐられる恐怖と嫌悪に首を力なく横に振る。そんな裕太の首筋を、面白そうに男は舐め上げた。
「お洋服脱いで、本当に男の子か確かめましょうねぇ」
ブラウスの襟を乱暴に掴んだ男に、裕太は目を見開いた。
「やめてっ、破かないでッ! 脱ぐからっ」
「へぇ、積極的じゃん」
必死な裕太の訴えに、男達は口笛を吹き様子を見守る。
――みんなが、似合うって褒めてくれた。
女の子の格好でも、周囲に認めて貰えた服を、壊されたくない。
涙ぐみながら、エプロンを解き、ブラウスに裕太が手をかけたその時だった。
「ウチの看板娘、返せよ」
男達は訝る間もなく、勢いよく繰り出された蹴りに吹っ飛ばされた。
怯え震える裕太に手を伸ばし、現れた人影は庇うように抱きしめた。
「りょ…くん。なんで?」
「馬鹿が、トイレに何分かかってんだおまえ」
ぎゅっ、と胸に縋り付く裕太を見下ろし、諒は労るようにその頭を撫でた。
「間に合ったな」
「諒君…ッ」
「一人でフラフラすんなっつったろバーカ」
乱れた裕太の服を直し、諒は改めて裕太の身体を抱きしめた。安心させるように、何度も背中を摩る。
「……泣くな、ゆう」
久しぶりに聞く、懐かしい呼びかけに裕太は眼を瞬いた。
「おまえが楽しそうに笑うの久しぶりに見た。俺だけにもっと、今日は見せてくれよ…ゆう」
「諒君……」
「今から休憩だ、よく頑張ったな」
涙の跡を、唇で辿る。いつもは絶対にしない、甘やかすような仕種で唇まで触れ合う。
強引に指を絡めると、諒は裕太を導き歩き出した。
「ご褒美はデートって、言ったろ?」
--------------------------------------
本当は両想いなのに、いろいろ立場が変わって素直になれない。束の間の、やさしい時間でした。
この二人はまた書きたいなぁ。
好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。