オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
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すぐ飽きるだろうと思っていた、山浦の僕への興味は、予想通り入学2週間もすると薄れてきた。
ようやく僕は、一人になれた。
山浦がしつこく、昼ご飯や教室移動を誘って来たのをことごとく断った。
班分けするときも、山浦のいない班に、周りに嫌がられながらもなった。
ただ、席だけは一学期中は我慢しなきゃならない。
それだけが憂鬱で、僕は久しぶりに誰もいない空間を噛み締めながら溜息をついた。
去年の夏、体験入学で見学をしに来た時から気になっていた場所。
校舎の裏にある、小さな花壇。
僕の落ち着く場所。
体育館からも、校舎からも死角で、ほとんど人が通らない。
お弁当を食べながら、僕は入学してすぐにまいた種が芽吹いて来てる様子に微笑んだ。
夏までには、綺麗に咲くだろうか。
勝手に植えた種だけど、誰も気付いてないから、抜かれることもない。
――本当は僕も、こんな風にひっそりと過ごしたかったのに。
「……なんなんだよ、あいつ」
山浦を見てると、嫌な奴の顔を思い出す。
僕みたいな奴に、優しくする奴は何か思惑があるんだ。
そうじゃなきゃ、近付いてなんかこない。
「あれ、高見ここで何してんの?」
1番聞きたくない声が、背後から聞こえて、僕は慌てて立ち上がった。
膝に抱えてた、食べかけのお弁当が地面に落ちる。
「あっ!」
「うわ、高見ごめん! そんなに驚くとは思わなかったからさ」
罰悪そうな顔で近付いて来た山浦を、きつく睨みつける。
ここは、僕の場所なのに。
なんでここまで、勝手に入って来るんだよ!
「高見」
「や、来るなよっ」
「無理。俺悪いけどそんな風に泣かれて、放っておけない」
「な、泣いてない! キミ、が、いなくなれば、平気なんだッ」
「なんで高見はそんなに、他人を締め出すの? 俺、高見に何かした?」
「う、うるさい! やだ、来るな!」
じりじりと近付く山浦に追い込まれ、いつの間にか僕は敷地境の壁に追い込まれていた。
「……そこまで言われるなら、なんかしておくかなぁ」
山浦はそう呟くと、身長差で余裕に僕を壁に縫い付けた。
見上げる高い位置にある顔が、逆光で表情がわからなくて怖い。
自然に震えだした僕に、山浦は少しだけ押さえる力を緩めると、上半身を傾けて来た。
暖かいものが、唇に触れた。
ゆっくり押し付けられて、それが山浦の唇だってわかるまで、僕は大人しくそれを受け入れていた。
「ン……ッ」
驚いて突き飛ばそうした僕を、見越したように抱きしめてくる。
ワケがわからなくて、パニックになりかけた僕を、山浦はぎゅっと抱きすくめた。
逃げ出したい僕をしっかり抱えて込んで、山浦は僕の髪を指先で弄りだした。
「ね、高見は俺が高見のこと大好きって言ったら、信じる?」
「……ないっ、信じないっ」
「そうだよね。高見は俺の事を知らないし、俺も高見のことよく知らない」
耳にかかる息がくすぐったくて、身を竦める僕に山浦が小さく笑う。
「でも、好きなんだ。高見が」
「なんで……っ」
「さぁ、なんでかな。でも、好き。だから泣かないでよ、高見」
山浦の声に、僕はただ首を横に振ることしか出来なかった。
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【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。