オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
最初から、苦手だった。
入学したばかりの、知らない人だらけの教室で、笑いながら輪の中心にいた奴。
みんながそいつに注目していて、どこに座ったらいいのかもわからない僕が、教室の隅にいるのなんて、誰も気付かなくて。
俯いてジッとしていたら、不意に頭上が暗くなった。
「大丈夫? 気分でも悪い?」
「あ……へい、き」
「もしかして、席わかんないとか? あ、適当でいいみたいよ」
にこやかな顔で、説明する男は僕より頭二つくらい大きくて。
僕にはだぶだぶで、全然似合わないブレザーを、制服見本みたいに恰好よく来ていて。
とっても、優しそうな顔をしていた。
気を許しそうになる、そんな顔。
――だから僕は、危険を感じた。
「ち、近付くなッ」
「え?」
「ぼ、僕に近付くなッ」
急に大声を出したから、他の生徒がみんなこっちを向いたので、僕は荷物の乗っていない廊下側の1番前の席に走った。
机に顔を伏せて、頭を抱える。
ああいう奴は、危険だ。
親切な顔をして、僕をどん底に突き落とす。
だからもう、僕には友達なんかいらない。
誰も、そばになんていなくていいんだ。
初日から、そんなことをしたからか、僕は早速クラスの中でハブられた。
逆に、あいつ――山浦は、すっかりクラスのまとめ役みたいな顔で馴染んでいた。
「ユミちゃん、今日の口紅の色いいね。すごい似合う」
「マジ? てかよく見てんねぇ」
「可愛い子のことは、気になるでしょ? 普通」
「アヤにも可愛いって言ってたの聞いたけど」
「だから、可愛い子はみんな大好きだよ。俺は」
朝から後ろで繰り返す会話を聞きたくなくて、僕は音楽プレーヤーのボリュームを上げる。
僕の席は、最初 に選んだ1番前から、同じ列の後ろから一つ前にさせられていた。
それもこれも、後ろに座る奴のせいだ。
僕が選んだ席の隣に、山浦は何故か初日座ったんだ。
「ねぇキミ、名前は?」
「……たか、高見、啓輔」
「ふうん、高見君ね。俺は、山浦葵」
「……き、キミ、みたいな背が高い人、いたら、後ろの人…見えないだろ? なんで、来たの?」
「高見と話したかったから、じゃダメ?」
綺麗な顔が、ニッコリ笑う。
僕に向けられる、軽蔑の目じゃなく。
思わず赤くなって見惚れた僕に、山浦は楽しそうに目を細めた。
「じゃあ、ゆっくり話せるように後ろ行こう」
「えっ」
「べつにどこに座ったっていいんだし」
担任の先生が来て、席の調整を始める前に、山浦は手を挙げて後ろに映ると言い出した。
そして僕の手を引くと、廊下側の1番後ろに座っていた人に、代わるように促して。
僕をその前の席に座らせると、満足げに落ち着いたんだ。
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。