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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2009年07月03日 (Fri)

 山浦×高見の第一種接近遭遇編。
 これはテスト回答ではなく、短編小説としてまとまったお話となっております。

拍手[1回]



 最初から、苦手だった。

 入学したばかりの、知らない人だらけの教室で、笑いながら輪の中心にいた奴。
 みんながそいつに注目していて、どこに座ったらいいのかもわからない僕が、教室の隅にいるのなんて、誰も気付かなくて。
 俯いてジッとしていたら、不意に頭上が暗くなった。

「大丈夫? 気分でも悪い?」
「あ……へい、き」
「もしかして、席わかんないとか? あ、適当でいいみたいよ」

 にこやかな顔で、説明する男は僕より頭二つくらい大きくて。
 僕にはだぶだぶで、全然似合わないブレザーを、制服見本みたいに恰好よく来ていて。
 とっても、優しそうな顔をしていた。
 気を許しそうになる、そんな顔。
 ――だから僕は、危険を感じた。
 

「ち、近付くなッ」
「え?」
「ぼ、僕に近付くなッ」

 急に大声を出したから、他の生徒がみんなこっちを向いたので、僕は荷物の乗っていない廊下側の1番前の席に走った。
 机に顔を伏せて、頭を抱える。
 ああいう奴は、危険だ。
 親切な顔をして、僕をどん底に突き落とす。
 だからもう、僕には友達なんかいらない。
 誰も、そばになんていなくていいんだ。


 初日から、そんなことをしたからか、僕は早速クラスの中でハブられた。
 逆に、あいつ――山浦は、すっかりクラスのまとめ役みたいな顔で馴染んでいた。

「ユミちゃん、今日の口紅の色いいね。すごい似合う」
「マジ? てかよく見てんねぇ」
「可愛い子のことは、気になるでしょ? 普通」
「アヤにも可愛いって言ってたの聞いたけど」
「だから、可愛い子はみんな大好きだよ。俺は」

 朝から後ろで繰り返す会話を聞きたくなくて、僕は音楽プレーヤーのボリュームを上げる。
 僕の席は、最初 に選んだ1番前から、同じ列の後ろから一つ前にさせられていた。
 それもこれも、後ろに座る奴のせいだ。
 僕が選んだ席の隣に、山浦は何故か初日座ったんだ。

「ねぇキミ、名前は?」
「……たか、高見、啓輔」
「ふうん、高見君ね。俺は、山浦葵」
「……き、キミ、みたいな背が高い人、いたら、後ろの人…見えないだろ? なんで、来たの?」
「高見と話したかったから、じゃダメ?」

 綺麗な顔が、ニッコリ笑う。
 僕に向けられる、軽蔑の目じゃなく。
 思わず赤くなって見惚れた僕に、山浦は楽しそうに目を細めた。

「じゃあ、ゆっくり話せるように後ろ行こう」
「えっ」
「べつにどこに座ったっていいんだし」

 担任の先生が来て、席の調整を始める前に、山浦は手を挙げて後ろに映ると言い出した。
 そして僕の手を引くと、廊下側の1番後ろに座っていた人に、代わるように促して。
 僕をその前の席に座らせると、満足げに落ち着いたんだ。
 

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