オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
このところ、頻繁に賢が携帯電話を弄っている。
春が近付いた3月になって気付いたその状況に、祐司は首を捻っていた。
別段珍しい光景では無いのだが、それは賢を知る身としてはかなり異様な光景だった。
出会ってからかれこれ3年以上経つが、賢にまともな友人がいることを、祐司は実はあまり把握していなかった。
(なっちゃんだけが友達ってわけじゃねーとは思ってたけど)
お互い別々の大学へ通っていたのもあり、それぞれの私生活に踏み込めない事情もあったので、確認したわけではなかったが。
賢の友人、という存在は祐司に必要以上の興味を抱かせた。
「……出かけてくる」
不本意であることを思い切り全面に出した顔でそう告げた賢に、祐司は行ってらっしゃいと言いかけてやめた。
「そんな嫌なら行かなきゃいいだろ?」
「そうもいかん事情が絡んでる」
「誰に会いたくないんだよ」
洗い物の手を止め、水を止めて振り向いた祐司に、賢は重い溜息をついた。
今日はどうも最近連絡を頻繁に取っていたらしい友人と、祐司もよく知る新宿を根城にしている――関係性的に祐司は友人だと思っている人達に会いに行くことになっている。
ただ、彼らとウマというかソリというか、全てにおいて何か反目しあう賢が、彼らにあまり好意的感情を持っていないことは、流石に祐司もよくわかっていた。
「全部だ、面倒臭い」
「つったってさぁ、頼られてんだろ? なんかよくわかんねーけど」
本当は同席したい気持ちでいっぱいだったが、込み入った事情ならば無関係な自分が関わるべきじゃないと、ギリギリ祐司は踏みとどまっていた。
賢の雰囲気から察するに、あまり良い状況でも面白い話でもない事も汲みとれる。
半分顔を手で覆い、肩を落とす賢に、祐司も堪え切れずに詰め寄った。
「俺もついてく?」
「いや……お前が来ると、余計ややこしくなりそうだ」
「なんだよそれ」
「一人はいいんだ、話せば事情が通じる相手だと思っているから。ただ、……肝心の問題を抱えたヤツに、お前を引き合わせる気になれない」
「なんでだよ」
「説明に困るんだ、お前とのこの暮らしが」
僅かに顔を上げた賢から出た言葉に、祐司も返答に詰まった。
隠しているわけでもないが、大声で大っぴらにしているわけでもない二人の生活。
特に外へ出る賢は、その点に非常に気を配っている。
後ろめたさではなく、お互いの平穏の為に、だ。
「折を見て、お前の事は高梨……今日同席するヤツには、紹介したいと思ってる。今度の騒動が収まったらな」
「わかった、じゃちゃっちゃと行って片付けてこいよ!」
笑顔で賢の背中を叩き、玄関へ向けて背中を押しだす。
2、3歩進んだ賢が、不意に歩みを止めてこちらに振り向いた。
伸びて来た腕が、思い切り背中に回ってきつく抱き締められる。
「行ってくる」
「行ってらっしゃい」
軽く唇を合わせると、今度は賢は振り向くことなく玄関へ向かった。
靴を履いて、鉛色の空の下へ出ていく賢の背中に、祐司は手を振り続けた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
全6話~7話くらいでお送りする予定です、短期集中今週いっぱいお付き合い頂ければ幸いです。
▽ランキング参加してます★お気に召したらポチリお願いします。

にほんブログ村

にほんブログ村
PR
この記事にコメントする
☆New Entry☆
(06/22)
(06/20)
(06/20)
(06/18)
(06/18)
(06/17)
(06/15)
(06/15)
(02/16)
(02/16)
トップ記事へ戻る。
(07/01)
(07/02)
(07/03)
(07/03)
(07/03)
(07/03)
(07/03)
(07/03)
(07/03)
(07/03)
カテゴリー
各作品はこちらから
お好みのカテゴリーへ飛んで下さいませ
LINK・RANKING
お世話になってます。
BL♂GARDEN様以降はランキング・検索サイトです。
お気に召したら、ポチっと頂ければ、こっそり管理人喜びます。
訪問者
ご来訪ありがとうございます。
アクセス解析
プロフィール
HN:
智祢
HP:
性別:
女性
趣味:
TVダラ見(ドラマとバラエティ) 妄想
自己紹介:
腐女子歴人生の半分。
好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。
好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。