オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「なんだそれ」
背後で漏れた低い呟きに、帰り支度をしていた受付嬢は思わず振り向いた。
土曜日午前の診療を終えた、午後1時。
顔だけではなく腕も確かな事で評判の、看板院長であるこの歯科医院の長が、なんとも形容しがたい表情で携帯電話を睨みつけている。
このところよく見かける光景に、彼女は一つ息をつくと身体を星宮克巳に向きなおした。
ここで無視を決め込めば、予想外なところで給料の査定に響く場合がある。
意を決し、笑顔を作った彼女は、雇用主に努めて明るい声を掛けた。
「どうかしたんですか?」
「……なんでもねぇ」
「あ、そうですか。じゃあ私達は、これからランチ行ってカラオケ行くんで失礼しまーす」
後輩の歯科助手の子を指差し、克巳に背を向ける。
彼女の中のルールでは、この性格面で面倒臭い雇用主に親切な顔を見せるのは1度までと決めている。
それに向こうが引っ掛からないのであれば、それ以上踏み込む事も構うこともしない。
案の定引いた彼女を、克巳はやや恨めしげに睨みつけているのを背中に感じた。
ドアの前まで来たところで、わざとゆっくり彼女は振り向いた。
「院長も一緒に行きますか? 予定が無いなら」
「ねぇよ、たった今消えた。行くぞ、但し奢らねぇからな」
「いいです、期待してないですから」
にっこり笑った彼女は内心で、せっかくの楽しい週末リフレッシュタイムが消えたなと呟いた。
ここ数日、いや数週間単位で克巳の機嫌が悪かったのは、オープンから勤めている彼女はよくわかっていた。
実際何が原因かは面倒くさくて訊ねる事は避けていたが、それが仕事に支障を来す――患者に常以上の暴言を吐いたり、スタッフに八当たりをしたり――事態が起これば、結局そのしわ寄せとどうにかしろという要求が全部自分へ降ってくる。
職場にほど近い池袋の駅前にあるレトロ感のある喫茶店で、克巳は添え物のサラダにフォークを突き刺しながら唇を尖らせた。
「マジであいつわけわかんねぇし」
「わかりますー! そういう男最悪ですよねー!」
アラサー男と20代半ば女子の、恋愛トークが繰り広げられるテーブルで、受付嬢は一人無言でパスタを啜っていた。
店内では今どき珍しくラジオが流れている。
実の無い二人の会話よりも、彼女はそちらへ耳を傾けていた。
人気男性DJが軽妙な語り口で伝えてくる内容は、リスナーからの相談メールとその回答だ。
アシスタント役の男性が、落ち着いた口調で的確な言葉選びをするのを、メインパーソナリティが茶化す。
二人のやりとりが人気である事を、彼女は雑誌で知ってはいたがそれを耳にしたのは初めてだった。
「あ」
「なんだよ?」
「いえ、ラジオの内容が」
話の流れを止められた事に不満を見せた克巳に、彼女は天井を指差した。
訝る二人は一旦会話を止め、同じように耳を傾ける。
ラジオから流れて来たのは、とある男子学生からのメールだった。
⇒続く
女子率高いwけどご容赦を<(_ _)>
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萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。
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