オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
掘りこたつが、田舎の婆ちゃん家にあった。
夏休みと冬休み、遊びに行く度、俺はそれが面白くて、何回も潜って遊んだんだ。
* * *
「わー! この店掘りごたつがある!」
「おまえ好きだったから、連れてきたかったんだ」
従兄で6歳上の聡ちゃんは、そう言って俺の頭を撫でた。
大学入学を期に上京した聡ちゃんは、そのままこっちで就職して。
田舎から近くに住むようになった聡ちゃんに、一人っこの俺はますます懐くようになった。
兄弟みたいだ、と言われるとくすぐったくなる。
今夜は俺の、少し遅れた二十歳の誕生日祝いだって、この居酒屋に連れて来て貰った。
「懐かしいー」
「よく、昔はかくれんぼしてたよな」
本来のこたつ使用法以外の思い出のある掘りこたつに、腰かける。
あの頃はよく、潜って遊んでは聡ちゃんに怒られてた。
「さすがにもう、潜らないか?」
「潜らない!」
思い出話に花を咲かせながら、酒を進める。
アルコールに慣れてない俺は、その「大人っぽい」雰囲気と、足元の暖かさに、すっかり気持ちよくなっていた。
こたつに浅く腰掛けながら、座布団にころんと転がる。
聡ちゃんは、そんな俺を苦笑しながら見下ろして来た。
「落ちるなよ?」
「……もう子供じゃないから、落ちない」
反発した俺に肩を竦めたかと思うと、聡ちゃんは唐突に布団をめくり……こたつに潜り込んだ。
え?と肘をついて身を起こしかけたが、足首を勢いよく引かれ、俺はこたつに尻餅をつくように滑り落ちた
「ほら、落ちた」
「何すんだよ!」
遠赤外線の赤い光に包まれ、高身長の聡ちゃんが膝を折り身を屈めて、俺の顔を覗き込んでくる。
「……思い出さないか、愁」
「え?」
「俺とも、こうやって潜ったこと」
「聡ちゃんと?」
「それから、……こうしたこと」
アルコールと、熱気と。
狭い空間で、軽く酸欠気味になっていた俺の腕を、掴んだと思ったら。
日本酒の匂いと味が、すぐ間近…目の前に迫って来た。
ゆっくりと押し付けられる、熱。
唇を塞がれ、ようやく俺はキスされていることに気付いた。
「……っ!」
聡ちゃんを突き飛ばし、こたつから飛び出す。
酸欠と恥ずかしさで、肩で息つく俺の前に、聡ちゃんはゆっくり顔を出した。
「思い出した?」
「お、出さないっ!」
必死にかぶりを振る俺に、聡ちゃんは溜息をつく。
それはどこか、痛みを抱えた顔だった。
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またまた、新キャラ・新シリーズ登場ですみません。
従兄弟同士の恋愛、というネタも一度扱ってみたかったんです。
さらに、ウチじゃ結構珍しいラインナップとして年上攻め。
けれど、視点は年下愁君です。
総ちゃんは、悪い奴というか腹黒い奴として描いていきたい野望があります。
この二人、どうなりますやら。
お楽しみ頂ければと思います。
好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。