オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
毎日、通学やバイトに行くのに使うマフラーは、聡ちゃんに貰ったものだ。
去年の誕生日プレゼントが、それだった。
一昨日の夜、あんな事があって、逃げ出すように帰って来てから…聡ちゃんからはなんの連絡も、ない。
「……バカ聡一」
俺に似合うと、明るい色合いのマフラーをくれた聡ちゃん。
ちゃんとカシミアなんだと、笑っていた聡ちゃん。
思い出すのは去年と、一昨日の真剣な顔の聡ちゃんで。
木枯らし吹くバス停で、俺はマフラーに鼻を埋めた。
* * *
「え、聡ちゃんから?」
「そうよ、あんたも酔っ払ってせっかく貰ったプレゼント忘れてくるなんて、おっちょこちょいなんだから」
バイトを終えて、家に帰ったら、母親から包み紙を押し付けられた。
聡ちゃんが、仕事帰りにわざわざ今日寄って置いていったと。
一昨日、プレゼントの話は確かにしたけど。
何にするかなんて、全然決まらなくて。
勝手な事ばかりする聡ちゃんにムカついて、俺は母親の前でその包みを破いた。
――出て来たのは、化粧箱にちゃんと入った、濃紺のマフラーだった。
「あら、あんたまた聡ちゃんと同じのがいいって、おねだりしたの?」
呆れ顔の母親が、メッセージカードを俺に投げて来た。
一瞬、呼吸が止まる。
『HAPPY BIRTHDAY 愁
おまえが気に入ってたみたいだから、俺が使っているのと同じ色のマフラーを贈るよ。
二十歳だからな、大人の色ももう似合うだろ。
おめでとう、愁。
聡一』
確かに、聡ちゃんがスーツとコートに合わせて着けてるマフラーが、大人びて見えて。
俺の、カジュアル過ぎるカラーのマフラーなんか嫌だって、言ったけど。
……あの人、何考えてるの?
俺に、あんな真似しといて。
大人だから? 酔ってた? どんな顔して、俺にこれ持って来たんだよ!
なんで俺も、やっぱりめちゃめちゃ嬉しいって思っちゃうんだよ!
「愁!? ちょっとどこ行くの!」
「直接、聡ちゃんにお礼言いに行く!」
やっぱ、ダメだ。
顔見ないとか、声聞かないとか。
……ダメだ。
………………………………
愁君は、洗脳というか…擦りこみと言うか。
無自覚に聡一に侵食されてる子なんだと思います。
頭の中、聡ちゃん一色的な。
好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。