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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2009年12月01日 (Tue)

 傾向: 従兄弟同士 / 年上(社会人・26歳)×年下(20歳・大学生) / 10年愛 

【問題】

 「白い息」でお一つお願いします。


拍手[2回]



 聡ちゃんの家まで、走って10分。
 上京して来てから、ずっと住んでる聡ちゃんのアパートを目指す。
 ウチの母親は、もっと大学に近い場所にしたらよかったのに、としょっちゅう言ってたけど、俺は全然逆で。
 俺の足で、遊びに来れる距離が、すごく嬉しかった。
 勝手にセカンドハウス状態で、休みになると泊まり込んでも、聡ちゃんは何も言わないで。

「……そうだよ、あいつ何も言わなかったじゃん」

 あんな、急にキスするとかじゃなく。
 じゃあ、いつも泊まりに行ってた、遊びに行ってた俺を、聡ちゃんはどう見てたんだよ?
 考えたら、走る足が止まる。
 バイト帰りで、スタジャン羽織ったまま飛び出したけど、急に寒さを感じて、俺は通りにあったコンビニに飛び込んだ。
 今更なのに、聡ちゃんに会うのが怖い。
 無駄な足掻きと思いながら、俺はコンビニでしばらく時間を潰した。

 * * *

 とりあえず、手ぶらじゃなんだしと自分に言い訳して、晩飯俺まだ食べてなかったからおでんを買って。
 聡ちゃんが好きな、卵とちくわとはんぺんも、二人分買って。
 余計に、走れない。
 歩きながら漏れる呼吸は、薄明かりの中白く消える。
 昔は、この白い息ですら面白くて、よく聡ちゃんに見せたもんだ。
 聡ちゃんが住んでいたのは、秋田で。
 とってもとっても、雪が深くて寒い。
 小さいころから、ばあちゃんの家に遊びに行くのが楽しみでしょうがなかった。

「……?」

 アパート手前の、煙草自販機の横に人影が見えて、俺は一瞬身構えた。
 そこは親切に灰皿が置いてある自販機なんで、よく喫煙してる人を見かける。
 俺が吐く息とは違う、白っぽい煙りが、ゆらゆら立ち上る。
 背中を向けてるその姿に、俺は息を飲んだ。

「聡ちゃん!」
「……寄り道してたのは、想定外だったな。すぐに来るかと思ってたんだが」

 部屋着のスェット姿で、素足にサンダルを履いた聡ちゃんが俺に振り返った。

「な、なんで俺来るって!」
「おばさんから、電話が来た。けど、来ないから心配したぞ。今探しに行くかと思っていたところだ」
「聡ちゃん……」

 いつもの聡ちゃんに、俺はなんでか、泣きたくなった。
 たった2日顔見なかっただけなのに、すごく会ってない気がして。

「話は、家で聞く。……さすがの北国生まれでも、寒いんだ」
「あ……」

 煙草を灰皿に押し付け、聡ちゃんの口から漏れた息は、俺と同じ白い息だった。
 背中に手を回されて、いつものように促される。
 
 ――何か決心着かないまま、俺は聡ちゃんと一緒に部屋に向かった。





 ………………………

 聡ちゃん再登場。
 この先どうするか、というか聡一という男が気になってきて楽しくなっています!
 
 

 

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