オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「保、明日弁当」
「……お前、つい二日前俺に吐き捨てた台詞を忘れたのか?」
帰るなり夕飯の支度をしていた俺に、さも当然のように弁当をねだって来た三男坊を睨みつける。
多感な時期だか、なんだか知らんが、充のバカは急に俺の持たせた弁当が要らないと言い出した。
いわく、カノジョが毎日作ってくれることになった、と。
子離れを迫られる父親の如く、切ない気分になった俺に、たった二日でコイツは掌を返した。
……腹が立つのは、このやり取りが初めてじゃないことだ。
「あいつ、唐揚げ味付け下手だし卵焼きはしょっぺーし最悪。別れた」
「……お前、それカノジョに言ったのか?」
「言うだろ、普通」
当然の顔で切り返し、充は背後から肩に顎を乗せ、俺の手元を覗き込んで来た。
「今夜、何?」
「クラムチャウダー」
「んだよ、弁当にそれ入らねーじゃん」
「おかずは別に作る。なんかリクエストあるのか?」
「マカロニサラダ、あの辛いヤツ。あと、アスパラ肉巻き」
「わかった」
コイツのこの我が儘な性格は、誰の責任なんだか。
溜息をつき、冷蔵庫の中身を思い出していたら、玄関から帰って来た声が聞こえた。
最近同居するようになった、末っ子の亮人(アキヒト)だ。
「ただいま、保さんと充。あ、お弁当ごちそうさまでした」
中学三年生。
それこそ多感な時期だと言うのに、丁寧にお礼を述べて空弁当を差し出す亮人に、俺は毎日感心していた。
今は離れて暮らす、亮人の母親の教育の賜物だ。
……そうすると、充がこうなった原因には俺の指導が行き届かなかったのか。
なんか、凹む。
「保さん?」
「あ、いやなんでもない。亮人は何か明日のおかずに、リクエストあるか?」
「保さんが作るおかずなら、なんでも大好きです、俺っ! 美味しいから」
ああ、この笑顔。
眩しい笑顔。素直な賛辞。
思わず俺は、背中に張り付いてる充を睨みつけた。
「あ? んだよ、その顔は」
「お前も、少しは弁当作る立場の人間敬えよ」
「はぁ? 敬ってんだろ、だからマズイ弁当の女捨てたんだろが」
ん?と眉を寄せた俺に、充はさも当然と、言葉を続けた。
「保のが、旨過ぎんだよ。あー俺、一生保の弁当だけ食いてぇ」
……そう言って、またすぐに別の彼女が出来たら、弁当を受け付ける癖に。
亮人の微妙な表情に苦笑しつつ、俺はアスパラ肉巻きの下準備を始めた。
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お兄ちゃんは大変です。…という話。
ご飯を毎日作って、というプロポーズ大作戦が使えないこの二人。
あっきーがさりげなく、ダークホースです。
好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。