オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「いらっしゃーい」
「こんにちは」
弟の新居で出迎えてくれるのは、あいつが一生賭けて『選んだ』伴侶。
今日も可愛いエプロン姿で、長い前髪を後ろに纏めて迎えてくれた。
「りゅーくんも、こんにちはー」
生後半年になる息子も、すっかり彼に懐いてる。
弟が婚約破棄して、男を選んだ時は驚いた。
我が弟ながら、堅物で融通利かないあいつが、人生初めてした『反抗』
世間的に開けた道を踏み外す気で起こしたそれを、私も両親も、簡単に受け入れられなくて。
かと言って、生真面目なあいつらしく、ガチガチに将来展望を語って説き伏せた姿に、その本気を感じて。
「お姉さん、りゅーくんのクリスマスプレゼントなんか欲しいのある?」
「いいよ、気ぃ使わなくて。てか、りゅーの奴まだ、玩具とかよくわかってないし。寄越すなら私にね」
「あ、まだそっか」
そういう天然ボケなところが、あいつの何かを擽ったのか。
余裕があるように見えて余裕のないあいつと、真逆のタイプ。
この緩さがいい。
「あんた達こそ、クリスマスどうすんの?」
「んー、賢の奴忙しいからまだ未定」
「あいつ、いつも忙しくない?」
「家のローンもあるし、俺を養うんだって頑張ってるみたい。俺も、仕事に出たいんだけどさー」
「逃げられんの怖いんだよ、あいつ」
むー、と唸る様子に吹き出しつつも、可愛いなと思う。
両親も私達も、大事にしてくれる。
何より、あの面倒臭い弟の事を、大切に思ってくれてる。
私が言う事じゃないけど、あいつの目は悪くなかった。
「祐司君」
「はい?」
「ところでまだ、お茶の一杯も出て来ないんだけど?」
「わ、ごめんなさいっ」
息子を私に押し付け、キッチンに走る後ろ姿に、盛大に笑う。
私にも旦那がいて、子供までいるけど。
どうしてかこの、弟の家が落ち着くのはやっぱりこの子の力なんだろうか。
ウチの旦那も、口にはそんなに出さないけど、この子を嫌ってない。
「慌てなくていーよ」
「はいっ」
一生懸命なんだ。
だから、可愛い。
幸せに、踏ん反り返らない。
「祐司くーん」
「へ?」
「りゅーのミルクもお願い」
「はい!」
世間が決めた幸せの定義に、反抗してるこの二人。
私に出来るのは、一緒にこうしてお茶飲んで笑う事だけど。
多分、それで充分だ。
私達は、家族だから。
………………………………………………
【女の子視点】という点では、アウトな年齢の賢姉ですが(笑)
28歳・子持ちな姉、全面に登場です。
ご都合主義的に、男同士でくっついているカップルを手放しで受け入れるキャラ・女性は、私はあまり好きではないんですが。
でも、家族って基本他人の集まりだしとか。
誰も愛して愛されないよりは、せっかく見つけた伴侶を許すくらいの度量はあってもいいかなという…希望的観測で。
まぁ、許すとか許すさないという観念自体、何さまだとおもうんですけどね。
世間的にズレていること、背いている事をきちんと認識した上で、二人を「姉」として見守る人がいてもいいかなと思い書きました。
普通の兄弟だって、結構放置気味だしね、お互いのプライベートは。
…て、ウチの姉弟だけですか(>_<)
にほんブログ村
好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。