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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2010年02月14日 (Sun)

 本編その後のエピソード。本文、加筆修正有り。 傾向:ラジオDJ×元引きこもり

【問題】

 『声を聴かせて』でお願いしますっ!

拍手[0回]



「なぁ……電話、したくないか?」

 夕飯を、俺の部屋で取引ながら、山本は唐突にそう切り出して来た。
 あれから、俺達はまめにPCメールでやり取りをし、極力俺も外に出て、山本の仕事の手伝いとも言えない手伝いをしていた。
 まるで、話せなかった10年を埋めるように、ほぼ毎日顔を合わせている。
 その山本から切り出された言葉に、俺は首を傾げた。

「……携帯電話、要るか? いつもほぼ、一緒にいるのに」
「まぁそうだけどよ、万が一の緊急連絡の場合とか。俺が一人寝淋しい時、寝付くまでおまえの声聞きたいとか、いろいろあんだろ」

 頭を掻きながら、そう答えた山本に俺は目を丸くした。
 山本は、決してこの部屋には泊まらない。
 夜、部屋で二人一緒に過ごす意味を、さすがに知らない振りは出来ない。
 ……そこまで、カマトトぶるつもりもない。
 山本も性急に進展を求めるわけじゃないが、「ただ一緒の部屋で寝る」というだけの事に、俺はまだ踏み出せなかった。
 
「俺、わがまま言ってるか?」
「そんなこと、ないが……」
「まぁ、確かに毎日顔は見てっけどさ。『声だけ』も結構重要なのよ」

 照れたように、自分の携帯電話を取り出して、山本は耳に当てる動作をした。
 電話を、山本とする。
 ……顔が見えないということは、声だけで。
 それは、『YAMATOさん』と話すことになるんだろうか。
 そう考えたらば、突如猛烈な恥ずかしさが襲って来た。

「は? 何おまえ顔赤くしてんの?」
「い、いや別に」
「お守りみてぇなもんだしさ、持って欲しいんだわ。正直言うと。……なんか、繋がってる感じすんだろ」

 掌に収まる小さい機体を見つめ、俺は頷いた。
 見えない糸よりも。
 確実に俺達を繋ぐ、証。

「わかった、近いうち買いに行くよ。携帯電話」
「お! マジか!? 付いてくぞ?」
「ひ、一人で大丈夫だ!」
「そうか? ま、操作困った時いつでも教えられるよう、同じ機種にしてこいよ」

 機嫌をよくした山本に、俺は肩を竦めた。
 寝る前に、山本の……いや、『YAMATOさん』の声が聞こえる。
 それは、すごく素敵な事かもしれないと、小さい機体を前に思った。





 ……………………………

 完結後に投稿した、お話でした。
 これは、本当は本編に組み込もうかと思ってたんですが。
 まずは二人をくっつけることに集中した結果入らなかったエピソードでした。

 
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