オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「なぁ……電話、したくないか?」
夕飯を、俺の部屋で取引ながら、山本は唐突にそう切り出して来た。
あれから、俺達はまめにPCメールでやり取りをし、極力俺も外に出て、山本の仕事の手伝いとも言えない手伝いをしていた。
まるで、話せなかった10年を埋めるように、ほぼ毎日顔を合わせている。
その山本から切り出された言葉に、俺は首を傾げた。
「……携帯電話、要るか? いつもほぼ、一緒にいるのに」
「まぁそうだけどよ、万が一の緊急連絡の場合とか。俺が一人寝淋しい時、寝付くまでおまえの声聞きたいとか、いろいろあんだろ」
頭を掻きながら、そう答えた山本に俺は目を丸くした。
山本は、決してこの部屋には泊まらない。
夜、部屋で二人一緒に過ごす意味を、さすがに知らない振りは出来ない。
……そこまで、カマトトぶるつもりもない。
山本も性急に進展を求めるわけじゃないが、「ただ一緒の部屋で寝る」というだけの事に、俺はまだ踏み出せなかった。
「俺、わがまま言ってるか?」
「そんなこと、ないが……」
「まぁ、確かに毎日顔は見てっけどさ。『声だけ』も結構重要なのよ」
照れたように、自分の携帯電話を取り出して、山本は耳に当てる動作をした。
電話を、山本とする。
……顔が見えないということは、声だけで。
それは、『YAMATOさん』と話すことになるんだろうか。
そう考えたらば、突如猛烈な恥ずかしさが襲って来た。
「は? 何おまえ顔赤くしてんの?」
「い、いや別に」
「お守りみてぇなもんだしさ、持って欲しいんだわ。正直言うと。……なんか、繋がってる感じすんだろ」
掌に収まる小さい機体を見つめ、俺は頷いた。
見えない糸よりも。
確実に俺達を繋ぐ、証。
「わかった、近いうち買いに行くよ。携帯電話」
「お! マジか!? 付いてくぞ?」
「ひ、一人で大丈夫だ!」
「そうか? ま、操作困った時いつでも教えられるよう、同じ機種にしてこいよ」
機嫌をよくした山本に、俺は肩を竦めた。
寝る前に、山本の……いや、『YAMATOさん』の声が聞こえる。
それは、すごく素敵な事かもしれないと、小さい機体を前に思った。
……………………………
完結後に投稿した、お話でした。
これは、本当は本編に組み込もうかと思ってたんですが。
まずは二人をくっつけることに集中した結果入らなかったエピソードでした。
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萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。
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