オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
履歴を眺める犀川から、携帯を奪い返そうと手を伸ばす。
が、素早く犀川はリダイヤルをした。
耳に携帯を当て、犀川は愉快そうに目を細めた。
「高梨君、て言うんだ」
「てめぇっ!」
「ただのご挨拶だけだよ、5コールで出なければ切るから」
出るな、なんて望むだけ間抜けだ。
あいつは、俺からの電話に必ず2回で出る。
目の前で、犀川は軽く目を見張り、口許の笑みを深めた。
「こんばんは」
にこやかな犀川の声に、携帯越しに低い高梨の声が聞こえた。
椅子から身を乗り出していた俺を、目で座るように制し、犀川は携帯に話し出した。
「高梨君、だね?僕は、克巳君の友人なんだけど。克巳君ご機嫌悪くてね、手に負えないんだ。助けてくれないかな」
言質を預けず、犀川は一方的に話していた。
俺の席からは、高梨が何を言い返しているかはわからない。
しばらく会話をし、犀川は携帯を閉じて俺に投げ返して来た。
「迎えに来てくれるって」
「何やってんだ、あんた!」
「何って、親切だろう? 友人としての」
友人、を強調して犀川は店員に声を掛けた。
近づいて来た店員に、ワインを注文する。
「暢気に呑める状況かっ!」
「呑まなきゃ出来ない話も、時としてあるだろう?」
しれっとした顔の犀川に、歯噛みする。
苛々する俺に構わず、犀川は店員が持って来たワイングラスを持ち上げる。
「彼が来るまで、取り敢えず呑んでようよ、克巳君」
***
一時間経ち、店内にちらほら空席が目立ち始めた頃。
高梨は、息を切らせて現れた。
鼻の頭と、耳の先が朱い。
どれだけ慌てたんだか、普段着のスエットにダウンジャケットを引っ掛けて来た高梨を、俺は呆然と見上げた。
「……はっ、犀川、先生? なんで、克巳さんと」
マフラーを解きながら、俺達の顔を交互に眺める高梨に、犀川は余裕の表情で俺の隣の席を指差す。
「まぁまぁ、積もる話はゆっくりとしようよ。高梨君」
「積もる話?」
訝る高梨は、俺をちらりと横目で見た。
いつもの高梨らしくない、硬い表情に俺はつい目を逸らした。
……やべぇ、なんで今更高梨見て心臓が煩くなってんだ。
口許を覆って、窓の外を眺める俺を、見つめ姿が窓越しに見える。
「取り敢えず、三人の出会いに乾杯しようか」
ただ一人、犀川だけが憎らしいくらい笑顔だった。
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萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。
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