オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「なんだよ?苦情なら後で……」
追い払うように手を振ったYAMATOさんを、浜口さんが「違う!」と遮った。
「……CM開けたらこれ読め。そんでチャラだ、お前の電波私用は。救われたな、お前」
押し付けられた紙の束を、訝るように覗いたYAMATOさんの目も見開かれる。
漏れた息は、複雑な感情が滲んでいるようだった。
ジングルが流れ、番組が再開される。
YAMATOさんは表情を改め、紙に印された文字を読み上げ始めた。
「メールパンク状態だと。みんな、ありがとな。……宮城の肉パンマン男子から。初メール。
『僕も引きこもりです、毎週一人で聞いてます。何となく、いつもこの番組聞いてると一人じゃない気がしてたけど、いつも楽しませてくれた投稿者が、僕と同じだって聞いて……僕にも何か出来る気がしてきました。シマネコさん、ありがとう』 ――次」
彼は、淡々とメールを読み上げた。
その後も数通、同様のメールが読み上げられた。
「……そう、動機やきっかけなんて不純でいいんだ。何かのきっかけを誘発出来ただけでも、俺の番組は無駄じゃなかった。すげぇな、DJ冥利に尽きるってヤツか」
感慨深く呟いた彼の目にも、光る物が見えた。
「公共電波を拝借したラブコールが届いて、本人引きずり出すのに成功した。それで結果オーライだと思ったが、俺は救われたんだ。コイツと、リスナーのみんなに」
「お、俺もずっと、救われてました!この、番組、聞かなかったら、本当に……っ」
「スゲーよな」
外に出るどころか、あのまま部屋で朽ち果てていただろう。
目に見えない確かな力が、俺を掬い上げた。
ずっと、救われてきたんだ。俺は、この人に。
「と、ちょっとここで違うメール紹介。
『無事、ラジオ局着けたんですね。路線図役に立ちましたか?籠から出た鳥は帰って来ないらしいから、自由を満喫して本当のご主人様とお幸せに』ネコの配達人…て、おい! コイツお前の何だよ?」
……多分、彼だ。
いつも配達に来る担当の。
思い起こせば、彼だって俺を助けてくれていた。
少し不機嫌なYAMATOさんに、俺ははにかんだ。
「……俺を、飼いたいって言ってくれた人です。餌付けしてくれるって」
「即行却下しろ、つか今ここで俺が断る!」
「一応、俺も断りましたけど……」
「当然だ! おい、祝辞が少ないぞ! もっと送れ!」
薄らと光る瞳のYAMATOさんが、力強い声を張り上げた。
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【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。