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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2009年11月20日 (Fri)


【問題】

『繋がる』をテーマにお願いします


拍手[3回]



 人生で一番長い、30分だった。
 長くて、濃密な30分。
 同級生だった頃だって、こんなに山本っ一緒に過ごした事も話した事もない。
 番組の締めに入ったYAMATOさん…山本の横顔を見つめながら、俺は妙な感覚を思い出していた。
 高校の頃、降車駅が近付く時にいつも感じたそれ。
 もう少し、という我が儘な感情。

「さ、シマネコ。おまえからも最後にメッセージだ」

 突然手首を引かれ、つんのめながら俺はマイクの前に近づいた。
 穏やかな眼差しが、俺を促す。

「あ、あの……たくさん、メールありがとう、ございました。俺なんかが、生きてても、世の中の役に立たないって……ずっと思ってて。今も、別に、役には立ってないとは思うんだけど……」
「だけど?」
「俺が、少しでも支えられる側に、なれたらいいと今日……思えるようになりました。俺みたいのでも、生きてるから。ありがとうございます、皆さんにちゃんと……お返し出来たらいいなと、思います」

 つっかえながらも話し切った俺に頷き、YAMATOさんはふっと悪戯を思い付いたような顔になった。

「だったら、来週も来るか? 番組」
「え?」

 仕切りの向こうで、大袈裟に頭を抱えた浜口さんを、YAMATOさんは笑い飛ばす。

「なぁ、リスナーだって聞きたいだろ? もっとシマネコの声。既成事実作って、今ここで来週も出演決定って事で。……おまえらラジオの向こうの声で、また上動かせよ」
「え、で、でも!」
「おまえだって、用事作らないと外出ないだろ。よし、決定」
「ええ!」

一方的に決まった話に、うろたえる俺を余所に、YAMATOさんはマイクに言い切った。
 ――来週も? 来るのか? 俺が。

「それで、だ。外に出たくても出る勇気がまだないキミ、そんな気持ちをメール寄越しなさい。シマネコ先生が、返事をくれるから」
「え?」
「おまえには、宿題。メール転送するから、応えてやれよ。役に立つぜ?」

 軽い口調とは裏腹に、真面目な顔の彼を見つめ、俺は息を呑んだ。
 彼が、俺を支えてくれたように……俺も。
 誰かの支えになれるんだろうか。

「というわけで、プロデューサが卒倒しかかってる今夜の『サタデーヤングナイト』はここまで。お相手は、YAMATOでした。グッナーイ」

 そうして、長い長い30分は……終わった。



 ……………………………………

 
 

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