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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2009年11月21日 (Sat)

 食べられない過去、話せない過去。

【問題】
 
 「過食」もしくは「拒食」で妄想して下さい

拍手[1回]



 『肉まん』と言われ続けた、あの頃。
 これ以上、体重が増えるのが怖くて。
 膨れ上がるのが、怖くて。
 母が毎日準備してくれた、鶏唐揚げも、カレーも、ピザも、全部拒否した。
 平和な頭の両親は、俺がまさか体型の事で、クラスでからかわれてるとは露程思ってなかったらしい。
 俺の食べたいまま、親の食べさせたいままにさせるのが、幸せであると信じていたからだ。
 中2の秋から、俺はそんな親と、親の出す食事に背を向けた。
 明らかに落ちた体重に、喜んでいたのもつかの間。
 俺の体は、食べ物を受け付けなくなった。


  * * *


「今、生徒に拒食症になりかかってる子がいて……俺、相談に乗ってるんですけど。上手くアドバイスが出来なくて」

  珍しく落ち込み顔で現れた高梨の口から出て来た言葉に、俺は眉を潜めた。
 俺に言うか、それを。

「克巳さん、医療従事者だし、なんかこう、アドバイスとかありますか?」
「あ? 歯医者じゃお門違いだろ。素人が首突っ込むんじゃねぇ、専門家に診せろ」
「やっぱり、その方がいいですよね」

 溜息をついた高梨に、俺も内心安堵の息をついた。
 コイツは、俺の過去を知らない。
 俺が、血ヘド吐く思いで、食い物を拒絶しまくったあの日々を、高梨は知らない。
 ……教える気も、更々ねぇが。

「生徒って、女か」
「はい。体型は普通なんですけどね、友達とダイエット始めて、自分だけ痩せてないような強迫観念に襲われたみたいで」
「……そうか」

 死ぬほど、その気持ちがわかると、その女子高生に言ってやりてぇと思う。
 多分、高梨には理解出来ない感情だ。

「そのまんまで十分可愛いって、言ってるんですけど」

 そんなもん、なんの慰めにもならねぇ。
 他人の慰めは、追い詰める刃でしかねーんだ。

「ちなみに、克巳さんには俺、もう少し肉つけて欲しいところなんですが」
「断る」
「量食べるくせに、太らないんだもんなぁ」
「……体質だ」

 吐き癖は治らないんだよ、そう簡単に。
 量を食っても、太らないよう見せてるだけだ。
 ……気付け、ボケ。

「早く医者連れてけよ、そのガキ」
「はい」

 仲間意識だなんて、驕りだ。
 ……何より、引きずられるのが、俺は、怖い。
 不意に、喉元までせりあがって来た胃液の逆流に、俺は口許を慌てて押さえた。



 なんで俺はまだ、お前に全部曝せないんだろうな、高梨。


 …………………………

 この二人は、すごく危うい近郊の上に立っている気がするのですが…個人的に。
 ちなみに、作中の拒食・過食についての見解は、私個人の見解であって医学的見地から見たものではありません。
 フィクションですので、あしからず。
 

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