オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
『肉まん』と言われ続けた、あの頃。
これ以上、体重が増えるのが怖くて。
膨れ上がるのが、怖くて。
母が毎日準備してくれた、鶏唐揚げも、カレーも、ピザも、全部拒否した。
平和な頭の両親は、俺がまさか体型の事で、クラスでからかわれてるとは露程思ってなかったらしい。
俺の食べたいまま、親の食べさせたいままにさせるのが、幸せであると信じていたからだ。
中2の秋から、俺はそんな親と、親の出す食事に背を向けた。
明らかに落ちた体重に、喜んでいたのもつかの間。
俺の体は、食べ物を受け付けなくなった。
* * *
「今、生徒に拒食症になりかかってる子がいて……俺、相談に乗ってるんですけど。上手くアドバイスが出来なくて」
珍しく落ち込み顔で現れた高梨の口から出て来た言葉に、俺は眉を潜めた。
俺に言うか、それを。
「克巳さん、医療従事者だし、なんかこう、アドバイスとかありますか?」
「あ? 歯医者じゃお門違いだろ。素人が首突っ込むんじゃねぇ、専門家に診せろ」
「やっぱり、その方がいいですよね」
溜息をついた高梨に、俺も内心安堵の息をついた。
コイツは、俺の過去を知らない。
俺が、血ヘド吐く思いで、食い物を拒絶しまくったあの日々を、高梨は知らない。
……教える気も、更々ねぇが。
「生徒って、女か」
「はい。体型は普通なんですけどね、友達とダイエット始めて、自分だけ痩せてないような強迫観念に襲われたみたいで」
「……そうか」
死ぬほど、その気持ちがわかると、その女子高生に言ってやりてぇと思う。
多分、高梨には理解出来ない感情だ。
「そのまんまで十分可愛いって、言ってるんですけど」
そんなもん、なんの慰めにもならねぇ。
他人の慰めは、追い詰める刃でしかねーんだ。
「ちなみに、克巳さんには俺、もう少し肉つけて欲しいところなんですが」
「断る」
「量食べるくせに、太らないんだもんなぁ」
「……体質だ」
吐き癖は治らないんだよ、そう簡単に。
量を食っても、太らないよう見せてるだけだ。
……気付け、ボケ。
「早く医者連れてけよ、そのガキ」
「はい」
仲間意識だなんて、驕りだ。
……何より、引きずられるのが、俺は、怖い。
不意に、喉元までせりあがって来た胃液の逆流に、俺は口許を慌てて押さえた。
なんで俺はまだ、お前に全部曝せないんだろうな、高梨。
…………………………
この二人は、すごく危うい近郊の上に立っている気がするのですが…個人的に。
ちなみに、作中の拒食・過食についての見解は、私個人の見解であって医学的見地から見たものではありません。
フィクションですので、あしからず。
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【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。