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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2009年11月20日 (Fri)

 シリーズ影のレギュラー(笑)配達員君の、呟き。 片恋。

【問題】

 『独占欲』と『諦め』をキーワードに、レッツ妄想。

拍手[1回]



 あの人が、「外に出る」と言い出した時、瞬間的に感じたのは……失望だった。
 妙な、喪失感。
 別に、引っ越すわけでも、この世から消えるわけでもないのに。
 ただ、俺には閉じ込めてはおけないんだと、まざまざと自覚したんだ。
 ……あの時。


  * * *


「主任、配達ルートの変更して欲しいんですけど」
「あ? お前、今のルート絶対変えるなって言ってただろうが」
「必要無くなったんで」

 端的に答えた俺に、上司はあからさまに不審な顔を見せた。
 確かに、言ったよ。
 あの人の部屋に、荷物を週に何回も届けるようになって。
 交わす言葉が、単語じゃなく会話になった頃、上司に直談判した。
 俺以外が、あの人の目に入らなければいいと思って。

「……私情なら、勘弁しろよ」
「私情っちゃ、私情ですけど。さすがにフラれたのに、平気な顔して訪ねる厚顔ぶりが俺、ないんで」
「お前なぁ……」

 三十代半ばのはずの上司は、歳より遥かにオッサン臭い溜息を吐いた。

「客に手、出してねぇだろうな? やめろよ警察沙汰は」
「まさか。玄関より先は、未開の地ですよ」
「玄関だけだって、十分ヤルこたヤレんだろ」
「しませんよ。……本当にあの人には俺、手を出そうなんて考えなかった」

 会えるだけで満足、なんて純情ぶったわけじゃなく。
 踏み込んだら、いけない気がしたんだ。
 あの人が初めて、俺以外の配達員が行った後、ぽつりと呟いた言葉がまだ耳に残ってる。

『……なんか、君以外の人は怖いね』

 ああ、俺の物なんだと。
 あの時、確かに感じた独占欲。
 ずっと俺の心の中に隠した気持ち同様、あの人を閉じ込めておきたかったのに。
 勝手にあの人は、外に飛び出す。

「考えとく。たく、面倒言いやがって」
「お願いします」
「あ、ちょうどいいお前。フラれたなら、前言っただろ。ウチの妹と付き合え」
「……嫌ですよ、主任と兄弟になるの。転職しますよ、そしたら」
「この野郎」

 軽口を叩き合って、部屋を出る。
 転職も、本気で考えた方が良いかもしれない。
 下手に顔を見たら、諦めがつかない。

「ああ……そうだ」

 餞別代わりに、何処に行くか知らないけど、次に行く時は路線図でも持っていくか。
 そこに着くまでは、俺のモノ。
 ……ひそかな、自己満足の独占欲だ。



 …………………………………………

 配達員(名無し)にも、幸せを!とコメント頂いたんですが(笑)
 折角の出会いのチャンス(主任の妹)を、棒に振るくらいなんで、まだまだちょっととおいかな、と。
 本番編前、辺りのお話です。鳥籠云々~と言っていた頃の。
 こういう、口に出さない片想いモノが、大好きですみません。くっつかなくても、美味しく頂けます!


 

 

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