オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
番組開始一時間前。
浜口さんを交えて、三人で打ち合わせのため、別室に移動した。
さっき泣いたせいで、やや目が腫れぼったいのを、浜口さんは不思議そうに見てくる。
「なんだ?YAMATOに早速泣かされたか?」
「違っ……!」
「人聞き悪い事言うなよ、感動の抱擁して感極まったんだよな?」
返事に困り、俺は小さく頷いた。
感極まったのは、嘘じゃない。
だが落ち着くと、羞恥と戸惑いが蘇ってくる。
……みっともない、真似をした。
俯いた俺に、二人同時に溜息を漏らすのが聞こえてきた。
「……お前、反応可愛い過ぎ」
「近年稀に見る、初な子だなシマネコ君」
苦笑混じりの浜口さんに、俺はますます身体を縮こませた。
二人にまた笑われたのは、言う間でもない。
「そういえばさ、シマネコ君て名前の由来、聞いてもいい?」
「そういや、俺も聞いてないな」
ボールペン片手に尋ねてきた浜口さんと山本に、俺は思わず口ごもった。
「いい、ですけど……あの、笑いませんか?」
「聞いてみないと、なんともな」
「コラ! 笑わないから、言ってごらんよ」
山本の頭を軽く叩き、浜口さんは穏やかな声で促してくれた。
戸惑いながら、俺は口を開く。
「猫みたいだなって、俺の生活。日だまりの中で寝て、起きて、食事して……いっそ猫にならいいなと思って」
二人が、静かに頷いたのを見て言葉を続けた。
「で、時々ベランダに本物の猫が来てて……そ、それが縞模様で、シマネコ……って。あ、あの安直ですみません!」
もっとカッコイイ名前を考えればよかったのかもしれないが、あの時は番組にメールを送る事で必死だった。
猫のように、自由気ままに。
そんな思いがどこかにあったのかもしれない。
「猫ならもう、出入り自由だな。外も」
え、と顔を上げると、山本が顎下と喉の境目に手を伸ばして来た。
猫をあやすように、指先が肌を擽る。
「ちょ……っ」
感触に首を竦めた俺に、山本が悪戯っ子のような顔を見せた。
「あー、マジ首輪つけて鈴つけて、家で飼いてー!」
「監禁はよくないぞ、監禁は」
「監禁なんかするかよ、猫らしく自由にさせてやる。……な?」
諌める浜口さんに笑い返し、山本は俺から指を離した。
離れた温もりが少し、物寂しくて、俺は喉を掌で覆う。
――一瞬、飼われてもいいかもと思った自分に、俺はまた耳を熱くして、俯いた。
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。