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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2009年11月20日 (Fri)

 名前に秘めた、本音。

【問題】

 「そういえば」で何かお願いします!

拍手[2回]




 番組開始一時間前。
 浜口さんを交えて、三人で打ち合わせのため、別室に移動した。
 さっき泣いたせいで、やや目が腫れぼったいのを、浜口さんは不思議そうに見てくる。

「なんだ?YAMATOに早速泣かされたか?」
「違っ……!」
「人聞き悪い事言うなよ、感動の抱擁して感極まったんだよな?」

 返事に困り、俺は小さく頷いた。
 感極まったのは、嘘じゃない。
 だが落ち着くと、羞恥と戸惑いが蘇ってくる。
 ……みっともない、真似をした。
 俯いた俺に、二人同時に溜息を漏らすのが聞こえてきた。

「……お前、反応可愛い過ぎ」
「近年稀に見る、初な子だなシマネコ君」

 苦笑混じりの浜口さんに、俺はますます身体を縮こませた。
 二人にまた笑われたのは、言う間でもない。



「そういえばさ、シマネコ君て名前の由来、聞いてもいい?」
「そういや、俺も聞いてないな」
 

 ボールペン片手に尋ねてきた浜口さんと山本に、俺は思わず口ごもった。

「いい、ですけど……あの、笑いませんか?」
「聞いてみないと、なんともな」
「コラ! 笑わないから、言ってごらんよ」

 山本の頭を軽く叩き、浜口さんは穏やかな声で促してくれた。
 戸惑いながら、俺は口を開く。

「猫みたいだなって、俺の生活。日だまりの中で寝て、起きて、食事して……いっそ猫にならいいなと思って」

 二人が、静かに頷いたのを見て言葉を続けた。

「で、時々ベランダに本物の猫が来てて……そ、それが縞模様で、シマネコ……って。あ、あの安直ですみません!」

 もっとカッコイイ名前を考えればよかったのかもしれないが、あの時は番組にメールを送る事で必死だった。
 猫のように、自由気ままに。
 そんな思いがどこかにあったのかもしれない。

「猫ならもう、出入り自由だな。外も」

 え、と顔を上げると、山本が顎下と喉の境目に手を伸ばして来た。
 猫をあやすように、指先が肌を擽る。

「ちょ……っ」

 感触に首を竦めた俺に、山本が悪戯っ子のような顔を見せた。

「あー、マジ首輪つけて鈴つけて、家で飼いてー!」
「監禁はよくないぞ、監禁は」
「監禁なんかするかよ、猫らしく自由にさせてやる。……な?」

 諌める浜口さんに笑い返し、山本は俺から指を離した。
 離れた温もりが少し、物寂しくて、俺は喉を掌で覆う。

 ――一瞬、飼われてもいいかもと思った自分に、俺はまた耳を熱くして、俯いた。


……………………………………………

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