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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2009年10月31日 (Sat)

 過去編完結編です。 ――結ばれる。

拍手[4回]



 
 携帯を取り出し、あいつへ向け通話ボタンを押す。
 あいつは果たして、出てくれるのか。
 俺の呼び出しに、応じてくれるのか。
 不安と期待を抱えたまま、呼び出し音は、しばらく続いた。
 1分も過ぎ、諦めかけた頃。
 それは唐突に通じた。
 
『誰?』
「……俺だ」
 
 不審感と、不機嫌の混じった声。
 それでも望んでいた声に、俺は自然に口許が緩むのがわかった。
 
「時間を作ってくれないか、話したいことがあるんだ」
『話? わざわざ、直接会って話さなきゃなんない事かよ?』
「……ああ、お前に逢いたい。直接、逢って話したい」

 逢いたい、と感情を込めて話している自分に全神経が昂ぶる。
 一瞬、返答に間が空き、祐司から絞り出すような声が返って来た。

『だったら、今度の土曜日なら……バイト夕方からだから』
「わかった、迎えに行く」
『で、でも! 家に来るなよ! 家は嫌だ!』

 電話越しが、もどかしいなどと思った事は今までなかったと思う。
 二人で会う事、あのアパートに出向く事を厭う祐司に、俺は自分が以前投げつけた言葉を思い出していた。
 過去を改善できるならば、あの瞬間の言葉を全て撤回したい。
 それを告げる事も今は出来ず、俺は祐司に向かい頷いた。

「家には行かない。……駅で待ち合わせしよう」
『……うん』
「祐司」
『なんだよ?』
「いや、いい。会ったときに話す」

 出来れば今すぐにでも問い出したい気持ちを、俺はどうにか呑みこんだ。
 今はまだ、駄目だ。
 携帯を握りしめ、俺は祐司に向かい祈るように声を出した。

「土曜日に、また」
『ああ、じゃあな』 

 ぷつりと切れた通話に、俺はしばらく携帯を見つめ続けた。
 
 祐司、選択権はお前に預ける。
 これは、賭けだ。
 人生で、最初で最後の賭け。
 俺の運命を左右する、大きな賭け。
 俺に有利に転がる事のないよう、俺はそれだけの重石を抱えよう。

 けれど、もしも願いが叶うならば。
 
 ――願わくば、俺を。この我が儘を。
 
 どうか、一つに繋がる道を。

 
 祐司へ願いを託しつつ、俺は家族へ事の顛末をするための決意を胸に、家へ向かい歩きだした。
 


 
  


 
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