オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「えー、メール紹介は一旦中断しまして。……シマネコ、どうよ? この反響」
ティッシュを丸め、鼻を啜る俺を横目に、YAMATOさんは苦笑混じりに問い掛けて来た。
名前も、顔も、知らない人達が。
俺と彼が、こうして再び巡り逢えた事を祝福してくれて、俺みたいな奴が吐き出した『言葉』に、温かい言葉をくれる。
「……っ、すごい、です」
「そうだな、単純な感想が1番効くわ。もうおまえ泣きすぎ、目溶けんぞ。俺の顔見えなくなるぞ?」
「…う…ふっ、でも」
「ま、番組終わったら、たっぷり慰めて、違う泣かせ方するけどな」
浜口さんが、ブースの中から何か怒鳴っている様子に、YAMATOさんは肩を竦めた。
……よく、わからない。
「では、俺達のこの奇跡的な再会を祝し、ここで一曲。……『キセキ』でも流したいところだが、やっぱり俺達にはこの曲だろ?」
俺をちらりと横目で見ると、YAMATOさんは懐かしむような表情を見せた。
「最初にこの曲、こいつとイヤフォン半分で聞いた日のことまだ覚えてる俺、相当純情だよな」
「……覚えてる、お、俺も」
「高校出てから、おまえの事思い出すと必ずこの曲も、頭の中流れてた。――おまえも、離れた空の下で、同じ星見上げてっかなぁと。そしたら、見つけ出さないとな、と」
「同じ、だ。俺も……!空、見てた!」
閉じた部屋の中で、カーテンの隙間から見える空を、毎日見上げていた日々。
どこかで、もしかしたら。
こんな俺を考えてくれてる人が、いるんじゃないかと。
あの曲を、思い出していた。
「……離れていても、心は一つか」
「そっ、そんな!」
「そうなの。というわけで、俺達にピッタリなこの曲を――JungleSmileで『おなじ星』」
イントロが流れ出し、YAMATOさんは椅子に背中を預け息を吐いた。
「本当に、街で擦れ違ったりしてたのかもな、俺達」
「……けど、俺は……」
「高校出てすぐ、引きこもったワケじゃないだろ?」
頷き返せば、すっとYAMATOさんは表情を引き締めた。
「いや、いい。その話はおいおいだ。……まさかおまえ、このまま終わって逃げる気ねーだろ?」
「逃げる……って」
「10年は長いんだぞ? 離れてた時間も、距離も、埋めるには全然足りないからな、俺達」
この、隣り合わせの距離以上に、埋めたい物。
俺ははっとして、YAMATOさんの顔を見つめ返した。
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【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。