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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2009年11月20日 (Fri)

問題】

 『離れていても』っでお願いしますっ!

拍手[2回]



 
「えー、メール紹介は一旦中断しまして。……シマネコ、どうよ? この反響」

 ティッシュを丸め、鼻を啜る俺を横目に、YAMATOさんは苦笑混じりに問い掛けて来た。
 名前も、顔も、知らない人達が。
 俺と彼が、こうして再び巡り逢えた事を祝福してくれて、俺みたいな奴が吐き出した『言葉』に、温かい言葉をくれる。

「……っ、すごい、です」
「そうだな、単純な感想が1番効くわ。もうおまえ泣きすぎ、目溶けんぞ。俺の顔見えなくなるぞ?」
「…う…ふっ、でも」
「ま、番組終わったら、たっぷり慰めて、違う泣かせ方するけどな」

 浜口さんが、ブースの中から何か怒鳴っている様子に、YAMATOさんは肩を竦めた。
 ……よく、わからない。

「では、俺達のこの奇跡的な再会を祝し、ここで一曲。……『キセキ』でも流したいところだが、やっぱり俺達にはこの曲だろ?」

 俺をちらりと横目で見ると、YAMATOさんは懐かしむような表情を見せた。

「最初にこの曲、こいつとイヤフォン半分で聞いた日のことまだ覚えてる俺、相当純情だよな」
「……覚えてる、お、俺も」
「高校出てから、おまえの事思い出すと必ずこの曲も、頭の中流れてた。――おまえも、離れた空の下で、同じ星見上げてっかなぁと。そしたら、見つけ出さないとな、と」
「同じ、だ。俺も……!空、見てた!」

 閉じた部屋の中で、カーテンの隙間から見える空を、毎日見上げていた日々。
 どこかで、もしかしたら。
 こんな俺を考えてくれてる人が、いるんじゃないかと。
 あの曲を、思い出していた。

「……離れていても、心は一つか」
「そっ、そんな!」
「そうなの。というわけで、俺達にピッタリなこの曲を――JungleSmileで『おなじ星』」

 イントロが流れ出し、YAMATOさんは椅子に背中を預け息を吐いた。

「本当に、街で擦れ違ったりしてたのかもな、俺達」
「……けど、俺は……」
「高校出てすぐ、引きこもったワケじゃないだろ?」

 頷き返せば、すっとYAMATOさんは表情を引き締めた。

「いや、いい。その話はおいおいだ。……まさかおまえ、このまま終わって逃げる気ねーだろ?」
「逃げる……って」
「10年は長いんだぞ? 離れてた時間も、距離も、埋めるには全然足りないからな、俺達」

 この、隣り合わせの距離以上に、埋めたい物。
 俺ははっとして、YAMATOさんの顔を見つめ返した。


…………………………………

 

 

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