オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
野菜なんて、ほとんど買ったことがなかった。
つうか、自炊自体ろくにしてねぇし。
白菜丸々一個なんて、一人暮らしの男子大学生が普通買うかっつーの。
カゴに入れた白菜を眺めてたら、馬鹿に肘を突かれた。
「花嶋君は、しらたきと糸コンどっち派ですか?」
「どっちって……なんか違うのかよ、それ」
「え! 何を言うでござるか、花嶋殿!」
ムカつく。
なんだその、奇異の者を見る目。
香野のクセにと思いながら、俺は舌打ちをした。
「じゃ、俺の好みでいい?」
「勝手にしろ」
「へへー。あ、豆腐取って下さいです!」
「ほらよ」
「ちょ、花嶋君! ここはやはり、普通に木綿でなければ! 絹ごしって!」
「あぁ? うるせぇ!」
馬鹿のくせに、料理下手くそなくせに、無駄に研究だ勉強だしやがって。
最近生意気に、言い返してきやがる。
馬鹿にバカにされるのが、去年の俺ならば即行耐えられずにブチ切れてたはずだ。
……第一、一緒に鍋するための食材とか、絶対一緒に買いに来てねぇ。
なんとなく、今更俺達が「付き合ってる」ことを、こういう瞬間自覚する。
香野に腹立つのが、減ったわけでもねーのに。
何かが、違う。
あの日から、確実に何かが変わった。
あいつの着替えが、増えること。
当たり前に、歯ブラシが、洗面所にあること。
あいつ専用の物が増える度に、俺専用の物も増える感覚。
何より、あいつと一緒にベッドで目覚めること。
……一人じゃねぇんだって、最近特に思うのは、朝寒くなって来たせいだ。
ベッドの中の温かみが、全然去年と違う。
「花嶋君、今日は何飲むですかー?」
「ポン酒」
「……え、そんな名前のお酒ないですよ!?」
「ばーか」
最初に白菜を入れて重くなったカゴを引きずる香野の頭を叩き。
俺はカゴを奪い取った。
* * *
大量に買い込んだ食材を、分担してぶら下げて帰る。
こんな真似も、俺がしてるのが信じらんねぇ。
昼間、大型ディスカウントショップで買った、二人用土鍋で、今夜は鍋だ。
一人の時には家で食うことなんて絶対無かった鍋を、二人で食う。
去年とは明らかに違う冬が、来てると実感しながら帰る夕暮れだった。
…………………………………
ふーゆーがはーじまるよー…的な、花嶋×香野でした。
人一倍独占欲強そうな花嶋氏だからこそ、確実に一緒にいるチカちゃんの存在を感じたいのかなと。
そして、チカちゃんの今がこうして幸せな分、忍様に寒い冬が来ているという…対比になっていたり。
前へ
▽ランキング参加してます★お気に召したらポチリお願いします。
にほんブログ村
好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。