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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2010年02月17日 (Wed)

 ⇒続きです

拍手[1回]



 走り去る代行を見送り、何週間かぶりの安アパートを振り返った。
 三階建の、狭い部屋。
 建坪は、絶対俺の実家より狭い。
 こんなところで生活してられるこいつが、最初信じられなかった。

「どうぞ」

 2階の真ん中。
 通い慣れた部屋のドアを開けて、高梨は俺を招き入れた。
 一人がやっと立てる狭い玄関で靴を脱ぎ、家主より先に部屋に入る。

「散らかってんな」
「師走の教師は、ハンパないですよ」

 足の踏み場が辛うじてある、寝室との境目に立つ俺に、高梨は適当に場所を空けた。
 座るように促されたが、俺は首を振り返した。
 高梨がヒーターを点けるのに、背中を向ける。
 それを眺めながら、俺はマフラーを外しコートに手を掛けた。
 スーツの上着にも手を掛け、ボタンを外す。
 ネクタイを引き抜き、シャツの裾を引っ張り出した。

「克巳さん!?」

 高梨が振り向いた時には、俺は上半身裸になっていた。

「今更驚くことかよ?……いつも、脱いでただろ」
「だって、部屋もまだ暖まってないのに!」

 ベルトに手を掛けた俺を、高梨が止めた。
 手を引かれ、温もりと嗅ぎ慣れた匂いに包まれた。

「……今日、てっきり別れ話でもされるのかと思った」

 耳元で聞こえた声は、覇気のない萎んだものだった。

「なんでだよ」
「俺、これでも頑張って、克巳さんを全身全力で受け止める気で頑張って来たんですよ? けど、力不足かとか、……俺じゃ駄目なのかとか、この何週間かずっと悩んでて!」

 背中を抱く腕の力が、強くなる。
 高梨が、激昂してる。
 会わなかった間の話は、店でも帰りの車でもしなかった。
 こんなに感情的な高梨が、初めてで、俺は身を竦めた。
 ……怖い。
 震える身体は、寒さのせいだと思いたかった。

「久しぶりに電話が来たと思ったら、別の男と食事中って! 俺を呼び出してまで、俺をおとしめるのかと思うじゃないですか!」
「そんな……つもりじゃ」
「なら、全部もう俺に曝して下さい」

 高梨は言い切ると、両肩を掴み俺の顔を真正面から見据えて来た。
 真っ直ぐな視線に、うろたえる俺に構わず、高梨は言葉を重ねる。

「受け止めますから、全部話して下さい。克巳さんの事、教えて下さい」

 お願いします、と呟いた声に俺は俯いた。

「……話は、ベッドの中だ」
「わかりました」

 犀川、これでいいのか? おまえの狙いは。


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 萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。