オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
やっと最後の患者を送り出し、診察室にはスタッフ全員の溜息が同時に漏れた。
「先生~、やっぱり平日半ドンはキツイですよ~」
「だな」
片付けを歯科助手に任せ、俺は事務所に引っ込んだ。
高梨からは、昨日の晩電話が来た。
あいつはあいつで、同僚との忘年会を蹴って来るらしい。
地元でうろうろしないで、いっそ遠くに行こうと、誘われた。
「……恋人たちのクリスマスか」
初めてだ、ってのは散々あの夜高梨に話した。
俺は歳を取らない事になってると、誕生日すら突っぱねて来たこの数年。
歳を取って、醜くなる不安を、誰にも悟られたくなかった。
……高梨だけは、違う。
胸踊る、って気分を久しぶりに味わいながら、俺は予約入れてた美容師の所に向かう準備を始めた。
* * *
「気合い入ってますねー……」
高梨は車に乗り込んだ俺を、上から下までしげしげと眺めて、そう言った。
「開口一番がそれか、おまえ」
「綺麗ですよ、克巳さん」
「……本当にわかってんのか、おまえ」
「わかってますよ」
「わかってねぇよ」
人がどんだけ、緊張して待ってたかとか。
なんで今更、高梨ごときに金と時間使って、こんなに髪だ顔だ、整えて来たか。
「どうせ、腹に入れば原型ないし、食べ物って見た目にそんな気を使う理由がわかんないんですよね。俺」
「汚ぇと、食欲失せるだろ」
「最低限でいいんじゃないんですか、だから。素材そのまんまの方が、美味しいですから」
高梨は車を走らせながら、片手で俺のせっかくセットした髪を掻き回す。
「元が美味しい素材は、下手に料理しない方がいいです」
「……美味いか?俺」
「極上でしょ、何言ってんの克巳さん」
どこに向かうか告げず、日が暮れかけた道を走る。
俺も、行き先は尋ねなかった。
「ご両親は、誕生日のお祝いされないんですか?」
「断った」
「……いいんですか?」
「いい。初めて……親に、昨日俺を産んでくれた事、感謝した」
俺が生まれた事を、喜んだ両親。
こんな俺を、生き長らえさせてくれた両親に、初めてありがたいと思った。
「俺は、克巳さんのご両親の結婚記念日から祝いたいですね」
穏やかな声で、高梨は呟いた。
⇒次へ:前へ
▽ランキング参加してます★お気に召したらポチリお願いします。
にほんブログ村
PR
この記事にコメントする
☆New Entry☆
(06/22)
(06/20)
(06/20)
(06/18)
(06/18)
(06/17)
(06/15)
(06/15)
(02/16)
(02/16)
トップ記事へ戻る。
(07/01)
(07/02)
(07/03)
(07/03)
(07/03)
(07/03)
(07/03)
(07/03)
(07/03)
(07/03)
カテゴリー
各作品はこちらから
お好みのカテゴリーへ飛んで下さいませ
LINK・RANKING
お世話になってます。
BL♂GARDEN様以降はランキング・検索サイトです。
お気に召したら、ポチっと頂ければ、こっそり管理人喜びます。
訪問者
ご来訪ありがとうございます。
アクセス解析
プロフィール
HN:
智祢
HP:
性別:
女性
趣味:
TVダラ見(ドラマとバラエティ) 妄想
自己紹介:
腐女子歴人生の半分。
好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。
好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。