オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「聖夜が性夜とは、よく言ったもんだねぇ」
乱れたベッド、散ったゴミを拾い、高梨はしみじみ呟いた。
半分眠りかけの俺は、高梨のジャージを身体に巻き付け、座椅子に身を預けてその様子を眺める。
部屋に戻ってから、先週何もなかったのが信じられないくらい……鳴かされ、泣いた。
目が腫れぼったいわ、喉はガラガラで、信じらんねぇ。
「あ、克巳さんほっぺにヨダレと……座椅子の模様跡」
近づいて来た高梨が、指先で頬を擽る。
さっきまで、散々俺を責めた指が憎くて、顔を振って噛み付いた。
「凶暴だなぁ」
「……るせぇ」
「頭はクシャクシャ、顔は変な跡だし。可愛いなぁ、克巳さん」
「どこがだよ」
「綺麗に着飾って、ツンとしてるよりも、全然可愛い。俺の天使サマは、こっちの方が」
……こいつを、犀川のところで診てもらったら、なんつうか。
『恋の病』か。大病だな。
そう簡単には、治らねーわ。
もう一回くらい、引き合わせてもみたいもんだ。
「あ、克巳さん夜食たべません?」
指を振りながら、高梨は小さい台所に向かう。
冷凍庫から、ビニール袋に入ったヤツが出て来た瞬間、俺は悲鳴を上げた。
「な……っ! おまっ!」
「克巳さんが、苦手なのはわかるけど」
「わかってねぇだろっ!」
皿に乗せ、電子レンジにソレを入れた高梨は、俺に向き直った。
「俺からの、誕生日プレゼントです」
「ふざけんな!」
「ふざけてないよ。克服してみない?」
チンと鳴ったレンジから、ヤツが湯気を立てて現れたのに、俺は気が遠くなった。
高梨がゆっくり、ヤツの乗った皿を持って近づいてくる。
俺は、だるい体を必死に動かし、後ずさった。
「……やっぱり、急には無理ですか?」
「一生ムリだ」
半分にちぎった分を俺に差し出すと、自分は残りを口に運ぶ。
俺はそれに必死で首を振り返していたが、ふと動きを止めた。
温かい、いい匂いが俺の食欲を刺激する。
不思議だ、今まで匂いで吐いてたのに。
「克巳さんは、肉まんじゃない。そう言ってた奴らの方が醜い、だから食べて消そうよ」
……消す、過去を。
躊躇いがちに、瞼を閉じ俺は歯を宛てた。
込み上げかけた吐き気を、一口かじった肉とともに中へ押し戻す。
20年振りくらいに食べた肉まんは、少し塩辛い味が混じっていた。
電子レンジで温めたせいか、ぱさぱさの皮が、口の水分を奪う。
目から流れ込んだ塩水が染みたそれは、お世辞にも美味いとは言えた食べ物では無かった。
けど、俺はそれを咀嚼し、飲み込む。
拍手が聞こえ、目を開ける。
そのまま、広い胸に抱き竦められた。
「おめでとう、克巳さん。生まれて来てくれて、ありがとう。今日から、天使廃業して人になる?」
28回目の誕生日。
それは新しい人生の幕開けの日に、なった。
…………………………………
お疲れさまでした。
そして、克巳さんと高梨にお付き合い有りがtございました。
なんて書くと、もうこの二人を書かないかのようでしすが(笑)
一旦、この連作はこちらにて終了です。
また二人の新しい形でのお話は、いずれ別の機会にと思います。
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萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。
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