アイドル恋愛事情 ３ （完結）

　　最終話です。　傾向　：　年下(16)×年上(18)　/　強引×内気

　芳賀孝哉君。
　二つ年下の、スーパーアイドル。
　少し……ううん、かなり我が儘で、オレを困らせる人。
　その彼に今、一番、人生を変えるような選択を突き付けられている。

『水城を、俺は恋人にするんだ。なぁ、いいんだろ？　返事はOKだよな？』
「う……、あの」

　NOじゃない。
　ついさっきまで、断れないから答えなきゃ、て考えてたオレが恥ずかしい。
　だって孝哉君は、こんなに真剣なのに……オレが、気持ち固まらないで答えていいの？
　断る気はないけど、オレでいいの？

『水城』
「……はい」
『超会いてぇ。電話じゃ全然足りない、顔見て触りてぇ』

　ダメだもう、これ以上。
　迷えない。

「孝哉君……お付き合い、させて下さい」


　＊　＊　＊



　人生が少し変わりました、いい方向に。
　人生で生まれて初めて、恋人が出来て
　オレの毎日は……幸せです。
　幸せな悩みで、いっぱいです。

「水城、俺より年上とか絶対サバ読んでるだろ」
「孝哉君こそ……なんでそんなに、強いの？」

　二つ年下の恋人は、今日も我が儘いっぱいです。
　人がいっぱい行き交う、収録スタジオの通路でオレは今、キスを迫られてます。

「……ちょっ、今は駄目だってば！」
「俺は今したいんだよ」

　壁に縫い付けられて、成長期真っ最中で身長伸び盛りな孝哉君を見上げ、オレは眉を八の字にした。

「で、でもほら……約束、したでしょ？　人前で、俺達が付き合ってるの、わからないようにするって」
「気付かれなきゃいい、水城が大人しくさせりゃ2秒で済む」

　確かに。
　微妙にこうしてる方が、人目引くもんね……。
　はぁ、と一つ溜息をついて、オレは諦めて瞼を閉じた。

「……ちょっとだけ、だよ」
「わかってる」

　約束通り、一瞬で離れた唇に、目を開けると…すぐ前に孝哉君の顔が意地悪に笑う。

「約束だから、今はこれだけな」

　ちょっと物足りない、て思ったオレを笑う。
　慌てて離れれば、孝哉君が不満な顔になった。

「……やっぱ足りね」
「だ、ダメ！　また後でね！」

　本当はオレもだけど、言えない。
　これ以上、くっついてたらオレも大変だし。

「水城、今晩仕事終わったら来い。絶対だからな」
「……うん」

　仕事、早く終わらないかなと思うようになったのは、孝哉君の影響。
　我が儘で強引な恋人のお陰で、毎日が幸せです。


＝完＝

　……………………………………………

　お付き合いありがとうございました<(_ _)>
　我儘アイドル×内気アイドル。
　いかがでしたでしょうか。

　去年の10月頃に書いた記憶があるのですが。
　短くも結構いい感じにまとまったかなと、自分では思っていたりします。
　二人とも可愛いなぁと。
　孝哉はこの先絶対、自分が稼ぐから水城に芸能界引退しろとか言い出しそうですね(笑)



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