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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2010年02月21日 (Sun)

 単発。薄暗いお話です。他者視点。オジさんと多分高校生くらいの男子。

【問題】
 バスの一番後ろの席に一緒に座っているおじさんと若者。
 二人の関係は?
 また、二人はどんな会話をしてる?

拍手[1回]



「なぁ、どこ行くの?」
「行けるとこまで」
「……これ、市内循環バスだぞ」

 年の瀬のバス。
 病院に通う年寄りに混じり、一番後ろを陣取るのは、50代前半と10代後半に見える男二人連れだった。
 静かな車内に、ぼそぼそと会話する声が届く。
 ミラーでちらりと見ながら、二人の関係を想像する。
 入って来た時から、妙だった。

(親子か……それとも、親戚か)

 二人はまた、とりとめない会話をまた始めた。

「あーあ、いっそ遠くに行きたいなー」
「そうだな」
「スッゴい遠く」
「例えば?」
「……外国とか」
「地理は相変わらず弱いのか」

 壮年の男が笑う。
 少年は、悔しげに男の爪先を踏み付けたようだった。

(……教師と、生徒か)

 だが、二人で出かける理由が見えない。
 ブザーが鳴り、バス停に寄せると、老人ご一行様が降りて行った。
 残ったのは、あの二人だけ。
 再び走り出した車内で、少年はぽつりと呟いた。

「……待ってたんだ、クリスマス」
「悪かった」
「孫だ子供だ、来てるんだろうなって思いながら、待ってた」
「俺も、行きたかった」
「でも来なかった」

 赤信号で止まる。
 会話はそこで、途切れた。
 不意に停止ブザーが鳴った。

「降りよう」

 男が、少年の手を引いて立ち上がるのが見え、私はマイクに向かった。

『バス停で止まるまで、立ち上がらないで下さいよ、お客さん』

 私の制止に、二人は慌てたように席に着いた。
 バス停は、市街地外れにある小高い山の下だった。

「さっきは、すみません。二人分です」

 男が財布から小銭を、運賃箱に入れた。
 近くで見ると、本当に不思議な二人だった。
 不躾に観察するのは失礼だと思いながら、降りる二人を最後まで見送る。

 二人は、動き出したバックミラーの中、手を繋いで歩いていた。
 山に向かい、二人の姿が消えた。

(親子……師弟……それとも)

 あの雰囲気を、私は知っている。
 だがそれを、常識が邪魔をして受け入れない。

(また、乗ってくれたらいい)

 あの山に飲み込まれないことを祈り、ハンドルを握った。









 …………………………

 その昔のドラマ『高校教師』的な、二人で。
 いつまで経っても、禁断だのタブーだのが大好きでスイマセン。
 許されない関係が好きなんです、スイマセン。
 またひょっこりバスに乗って来てくれたらいいです、二人。
 昨年末、一番最後に書いたのがコレ…って感じです(>_<)

 


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