オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
付き合い始めて、初の食事は和食レストランだった。
向かい合わせに座る克巳さんに、違和感を覚えて俺は首を傾げた。
優雅に、和食膳の箸を進める姿をしばらく観察し、俺はようやく違和感の正体に気付いた。
「克巳さん、左利きなんですね」
「ああ、だから?」
気に留めず、食事を進める克巳さんに、俺はさらに噛み付いた。
「だからって。カッコイイじゃないですか、左利き」
「今時珍しくもねぇだろ」
「確かにそうですけど。でも俺、左利きの人と付き合うの、初めてなんで」
漸くそこで、克巳さんは箸を止め顔を上げた。
「……で? 何聞きてぇんだ? 仕事に不便はねぇし、箸以外も全部左利きだ。ただ、鋏と鍵開けだけは右手な。天才でもねーし、器用でもねぇ。他なんだ?」
一気に喋り、克巳さんは一口味噌汁を啜った。
俺は、その様子に気圧されつつ、口を挟む。
「じゃ、一つだけ質問いいですか?」
「なんだよ」
「やっぱり左利きの人って、オナニー左でやるんですか?」
克巳さんの綺麗な眉間に、瞬間深い皺が刻まれた。
険しい顔で箸を置くと、克巳さんは勢いよくテーブル下で俺に蹴りを繰り出して来た。
それも左足で、蹴られた右足の向こう脛を撫でながら、妙に感心する。
「高梨! 何聞いてんだお前っ!」
「え……でも、なんでも聞けって」
「お前に関係ねーだろが!」
「いやぁ、でもほら、向かい合って扱くなら同じ側から俺の右手で擦れますけど、背後から抱き込んだら俺右側ばっかり攻めることになるし。ポイント外すかな、と」
明け透けに見えて、実は直接話法が苦手な克巳さんは、真っ赤な顔で箸を握りプルプル震え出した。
「お付き合いする上で、大事じゃないですか」
「そんな細けぇ注文しねぇよ!」
一気にご飯をかきこむ克巳さんに、俺は肩を竦めた。
「楽しみだなぁ、左利き」
「左手に過剰反応すんじゃねぇよ!」
「しますよ、克巳さんの事だし」
いきなり絡まれて、流れで付き合うようになった人だけど。
噛めば噛む程味が出る、スルメみたいな人で飽きない。
知らない事だらけで、不思議な事だらけで。
まだお許しのでない、ご休憩も宿泊も夢想して、今夜は左手で自分を慰めてみるかとひそかに俺は思った。
………………………
実は私自身左利きです。てか、ほぼ両利きです。 全部左利きの人、羨ましい!
しかし…久々の高梨視点、変過ぎた。克巳さんのアレコレがどうなのかは…秘密です(笑)
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。