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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2009年11月22日 (Sun)

 いい夫婦の日関連ラスト。やっぱり、二人が一番。 傾向:男夫婦 / 深夜の食事 / 幸福

【問題】

 「君と食べるご飯」で妄想してください!

拍手[1回]



 

 深夜。
 辺りが寝静まった中、足音を殺し帰宅を果たした北森賢は、玄関を背に溜息をついた。
 新型インフルエンザの影響で、職場で欠勤者が増え出したのが、2週間程前。
 当然、一人辺りの業務負荷が増え、更に自身の性格が災いし、賢は人の3倍以上働く羽目に陥っていた。
 手にしていた、帰り道のコンビニで購入した弁当を眺め、再び溜息を漏らす。
 ――おかげで、しばらく「嫁」の料理を、食べていない。




 レンジに弁当を入れた、その瞬間だった。

「……おかえりー」
「起こしたか」
「んにゃ、起きたー」

 眼を擦りながら現れた、愛しい妻――祐司を振り返り、賢は口許を緩めた。

「……今日もコンビニ弁当かよー」
「ああ、おまえの作ったトンカツがそろそろ食いたいがな」
「んー」

 寝ぼけ眼で、ダイニングテーブルの指定席に着いた祐司に、賢は眉を寄せた。

「寝てていいぞ」
「一人でメシ食べんの、マズいじゃん?付き合う」
「祐司……」

 チン、と鳴ったレンジから弁当を取り出し、賢はその向かい側に弁当を置く。
 その足で冷蔵庫に向かい、中から500㍉缶の発泡酒を2本、抱えて戻る。

「なら、付き合え……ほら」
「おう!……て、カツ丼かよー、嫌味?」
「偶然だ、残りがコレしか無かった」

祐司の箸を差し出し、賢はビニールを外し始めた。
 プルトップを開け、互いに缶を軽く合わせる。

「いただきます!」
「いただきます」

 缶に口を付けながら、コンビニ特有の水分加減の多い、白米を口に運ぶ。
 向かい側では、祐司が薄いカツをかじっていた。

「今日さ、お姉さんまた来てったよ」
「……あの女、また勝手に」
「りゅー君おっきくなってた」
「そうか」

 安い発泡酒と、味気ないコンビニ弁当。
 そして他愛のない会話。
 賢は自分自身で、表情が緩むのをはっきり自覚していた。
 目の前に、祐司がいる。
 それだけで、幸せを感じる、安上がりな自分に自嘲する。

「明日も早くて、遅い?」
「……ああ」
「ふうん。無茶すんなよー、賢。おまえ胃弱いんだし」
「わかってる」
「あ、でもインフルエンザかかったらちゃんと俺、面倒見るからな!」

 楽しそうに笑う祐司に、微笑み返し、賢は一気に缶を煽った。
 明日は、せめて日付が変わる前に帰ろう。
 そして、また二人で食事をするのだと、胸の内で呟きながら。

 

 …………………………………………

 締めはやはり、私らしく彼ららしくほのぼのと(笑)
 これは、少し前に投稿した話なんですが。
 その際、コメントにて「代表夫婦」とのお言葉を頂きまして。
 とても嬉しかったです。
 実際には、まぁ有り得ない関係なわけですが。こんな夫婦がどこかにいると思いながら。
 自分の一番大切なパートナーと、これからも一緒にいられる幸せ噛み締める日が合ってもいいと思う私です。



 

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