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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2009年11月20日 (Fri)

 最終回前編。

拍手[2回]



「おまえは!好き勝手やり過ぎだ!」

 番組終了後、浜口さんを交え俺達はラジオ局近くの、朝方までやっている居酒屋に来ていた。
 28にもなって恥ずかしいが、初めての居酒屋で。
 第一、他人と酒を酌み交わす事も、食事自体も、久しぶりというより初めてで。
 落ち着かない気分で、俺は通された狭い座敷席の壁際に座っていた。
 着くなり、目の前では浜口さんと山本が、軽く言い争っていて……尚、落ち着かない。

「あー酒マズくなんだろ、終了だ! また今度な!」
「……絶対ないだろ、その今度は。この野郎」
「100年後ぐらいなら、空けとくぜ予定」

 焼酎梅割りのグラスを煽った浜口さんは、怒鳴りかけて噎せたのか、酒を吹き出した。
 水滴が浜口さんの膝に零れたので、おしぼりで膝を拭おうと俺は膝立ちになった。
 その腕を、山本に掴まれ、低い声で制される。

「……おまえだから、浜口に懐き過ぎだって言っただろ」
「で、でも! 山本の上司……なんだろ? 心象悪い真似は……、この先山本によくない、だろうし」
「はっはっはっ! 良妻だなこりゃ、シマネコ君は!」

 不機嫌な山本とは逆に、急に上機嫌になった浜口さん。
 首を傾げる俺に、山本は大袈裟に溜息をついた。

「な、何だよ……」
「いーや。おまえ、やっぱ迂闊に外出すべきじゃねぇか」

 ぶつぶつ独り言を呟く山本に、浜口さんが豪快に笑い出す。
 慣れない賑やかな雰囲気に釣られ、俺も一緒に笑い声を立てた。


  * * * 

 

「しかし……大役だったなぁ、シマネコ君。まさか君が、その……何年も引きこもっていたとは知らず。強引にこの馬鹿が、引っ張り出して悪かった」
「あ、いえ、そんな」
「それだけ、俺とこいつの運命の赤い糸は強力に繋がってたんだよ。な?」

 自信満々に言い放つ山本に、浜口さんは溜息をついた。

「この馬鹿と俺は、大学の先輩後輩でな」
「え? ……そう、なんですか?」
「縁てのはたいてい妙なもんなんだが、完全に腐れ縁だな。俺らは」
「錆びて腐敗して、切れて欲しいぜ俺は」
「ヤマ、おまえ本気で局出入り禁止にするぞ」

 ああ、それでかと俺はようやく納得した。
 気心の知れた雰囲気。
 付き合いの長さが醸し出す空気が、素直に羨ましいと思った。
 俺も、そんな風に気軽に、気安く山本とこ言葉を交わしたい、と。

「……いいな」

 呟いた俺に、山本は眉をしかめた。

「羨ましがんな、おまえとはこれからガンガン絡んでくんだ。油断すんなよ」

 強く睨まれて、俺はわけもわからず頷き返した。



 ……………………………………

 


 

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