オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「おまえは!好き勝手やり過ぎだ!」
番組終了後、浜口さんを交え俺達はラジオ局近くの、朝方までやっている居酒屋に来ていた。
28にもなって恥ずかしいが、初めての居酒屋で。
第一、他人と酒を酌み交わす事も、食事自体も、久しぶりというより初めてで。
落ち着かない気分で、俺は通された狭い座敷席の壁際に座っていた。
着くなり、目の前では浜口さんと山本が、軽く言い争っていて……尚、落ち着かない。
「あー酒マズくなんだろ、終了だ! また今度な!」
「……絶対ないだろ、その今度は。この野郎」
「100年後ぐらいなら、空けとくぜ予定」
焼酎梅割りのグラスを煽った浜口さんは、怒鳴りかけて噎せたのか、酒を吹き出した。
水滴が浜口さんの膝に零れたので、おしぼりで膝を拭おうと俺は膝立ちになった。
その腕を、山本に掴まれ、低い声で制される。
「……おまえだから、浜口に懐き過ぎだって言っただろ」
「で、でも! 山本の上司……なんだろ? 心象悪い真似は……、この先山本によくない、だろうし」
「はっはっはっ! 良妻だなこりゃ、シマネコ君は!」
不機嫌な山本とは逆に、急に上機嫌になった浜口さん。
首を傾げる俺に、山本は大袈裟に溜息をついた。
「な、何だよ……」
「いーや。おまえ、やっぱ迂闊に外出すべきじゃねぇか」
ぶつぶつ独り言を呟く山本に、浜口さんが豪快に笑い出す。
慣れない賑やかな雰囲気に釣られ、俺も一緒に笑い声を立てた。
* * *
「しかし……大役だったなぁ、シマネコ君。まさか君が、その……何年も引きこもっていたとは知らず。強引にこの馬鹿が、引っ張り出して悪かった」
「あ、いえ、そんな」
「それだけ、俺とこいつの運命の赤い糸は強力に繋がってたんだよ。な?」
自信満々に言い放つ山本に、浜口さんは溜息をついた。
「この馬鹿と俺は、大学の先輩後輩でな」
「え? ……そう、なんですか?」
「縁てのはたいてい妙なもんなんだが、完全に腐れ縁だな。俺らは」
「錆びて腐敗して、切れて欲しいぜ俺は」
「ヤマ、おまえ本気で局出入り禁止にするぞ」
ああ、それでかと俺はようやく納得した。
気心の知れた雰囲気。
付き合いの長さが醸し出す空気が、素直に羨ましいと思った。
俺も、そんな風に気軽に、気安く山本とこ言葉を交わしたい、と。
「……いいな」
呟いた俺に、山本は眉をしかめた。
「羨ましがんな、おまえとはこれからガンガン絡んでくんだ。油断すんなよ」
強く睨まれて、俺はわけもわからず頷き返した。
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【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。