地上の星は輝かない。

　変態とヲタク、どっちがましかと言う話。
　
【問題】
　罰ゲームでコスプレして秋葉にいくとキモいオタクたちにかこまれて?

　　……そりゃあ、いろんな意味で注目浴びるよな。
　うん、君達間違ってない。

「このピュアピュアピーチちゃんは、出来最悪であります！」
「こんなの俺の嫁じゃねぇ」
「廃除！」

　うん、俺もそー思うわ。
　適当過ぎて、すんません。
　デニムシャツにバンダナ、リュックにポスターのビームサーベルなテンプレキモヲタに、今なら素直に謝る事が出来る。
　この恰好は、酷い。
　安いビニール製のカツラに、ペラペラ素材の衣装。
　スーパーで買った、食玩オマケのステッキ。
　これじゃ、どう見ても残念だ。

「……でもなぁ」
「反論するな！　偽物が！」

　肩をどつかれて、思わず堪えてた怒りが爆発した。
　勢いに任せ、スカートがめくれるのも気にせずどついた馬鹿の腹に蹴りをかます。
　驚いた残り二人も、眼だけでコロスぞビームを送る。
　連中は、泡吹く仲間を抱えて走り去った。

「ちょっと浩司ぃ、それじゃ罰ゲームにならないナリよ」
「うるせぇ！　いますぐ地上から抹消されろ、おまえ！」

　ビルとビルの間の路上での大立ち回りを、ビデオカメラ片手に見てた馬鹿を振り返る。
　同居人以上恋人未満、変人上等な奴は、ニタニタと気持ち悪い笑みで俺に近づいて来た。

「もー、ピュアピュアピーチちゃんは、必殺技が違うでしょー」
「そこかよ！」
「あと、浩司がリンカーンされそうになって、この俺登場の予定台なし」
「さっきの連中は、確実にリンチの気配だったぞ」
「うーむ、浩司のチャームはやっぱり俺にしか効かないのかー」
「おまえが特殊なんだ」

　大体、だ。
　いくら平均男子より細身だろうが、小柄だろうが。
　こんな貧相な女装コスプレで、男釣れるワケがないだろが！
　罰ゲームと称して、秋葉原の大通りに立つ事一時間。
　絡んで来たのは、全員熱心なヲタ……いやこの作品ファンの大きいお友達ばかりだ。
　性的な意味でなく、クレーム的な意味で。

「帰る」
「えー！　俺、浩司見張ってて、どこも買い物行ってないんですけど！」
「知るか、変態！」

　さっきの立ち回りでズレたカツラを投げ付け、俺は恥ずかしい恰好のまま駅に向かい歩き出した。
　この恰好で来たから、これで帰るしかない。

「あー、でもこれで今日のブログネタ出来た。ヲタクの審美眼はハンパねぇ、と」

　後ろでウキウキと呟く奴に、天罰下す方法に使う道具は売ってないのか。
　この街は。


　…………………………

　残念女装コスも好きです（笑）
　いつぞや出てきた、変態男（ヲタク気味）と浩司君。
　どうしてこの二人、付き合っているのか本当に謎。

　


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