オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「かーなやん、コーヒーとメロンソーダはどっちがお好み?」
「爽健美茶」
ベンチの前にしゃがみ、膝ついて。
差し出した紙コップの中身に、金谷は眉間に皺寄せた。
てかなんでも良い言うたやないの、アナタ。
「んじゃ、買い直し……」
立ち上がった拍子に、膝裏に衝撃が来て、俺は前につんのめった。
振り向けば、ガキんちょが足元に尻餅。
慌てて回収に来たママさんに笑顔を振り撒こうとした瞬間。
ママさんが俺を通り越し、金谷見て悲鳴を上げた。
いくら眼鏡美人でも、悲鳴って。
と、振り向いた俺の視界に。
――白いサマーセーターを染める茶色の憎い存在が見え、俺も絶叫を迸らせた。
* * *
「脱げ」
「脱がない」
「お馬鹿! 染みたら大変だろ!」
急いで金谷の腕を取り、トイレに引きずり込んだ。
洗うから脱げと迫る俺に、金谷は不機嫌に眉を寄せるだけで、頑として服脱ぐの拒否だ。
代わりに着ていろと差し出した、俺のパーカーが虚しく間で揺れてる。
「あのなぁ、まさか俺の服着るの嫌だとか言うなよ?」
「だったら? 馬鹿が移りそうで、絶対着たくないんだけど」
細めた眼が、眼鏡の奥から俺を睨み据える。
ガードするみたいに、腕を抱く金谷に、俺はキレた。
「いい加減にしろ、クソ眼鏡!」
隙を見て眼鏡を奪い取り、洗面台に乱暴に投げつける。
慌てたところを、両手首を掴み、壁嵌め込みの大型鏡に勢いよく押し付けた。
そのままセーターの裾に、手をかけて止める。
「どうする?脱ぐの手伝うか、自分で脱ぐか、決めろよ金谷」
一瞬だけ、金谷が息を呑んだ。
怯んだのを隠す様に、気丈としか言えない顔を見せる金谷に、俺の止まりかけた衝動がせり上がる。
――駄目だ、絶対駄目だ!
理性総動員で、俺はそのままの姿勢を必死にキープした。
しばらくして、裸眼の眼が悔しげに俺を見据えると、金谷が諦めたように体から力を抜いた。
「……脱げばいいんだろ」
俺を振り払い、渋々パーカー片手に傍の個室に飛び込む金谷を見送る。
思いっきり俺は、しゃがみ込んで溜めていた息を吐きだした。
「やっべ、やっちまった……」
投げた眼鏡に傷がないのを確かめて、俺は肩を落とした。
上手く懐柔する予定、覆す気か俺。
しばらくして、個室のドアが静かに開いた。
中から、俺のパーカーのジッパーを閉めつつ、金谷が不本意全開で出て来た。
その姿に、また俺の脆い理性がぐらぐら揺れる。
白い肌にストレート黒髪、それに白いセーターは非常に落ち着いた雰囲気でよかったんですが。
素顔晒して、カジュアルなパーカーを着てる金谷は、なんつーかこう、……幼い雰囲気で。
超可愛い。
え、何これ。
今日一日頑張った俺へのご褒美?
「絶対これのクリーニング代のが高くつくのに、馬鹿なの? お前」
俺にセーター押し付け、金谷は俺から眼鏡を奪い返した。
鏡を見ながら、眼鏡を掛ける。
鏡越しに見える金谷の顔が、少し紅いのは気のせいって事で見ないふり。
「金谷が俺の服着てる幸せ、プライスレス!」
「……匂いすら消して返す」
不機嫌な金谷の横顔に、こっそりご褒美に感謝な俺だった。
* * *
出口でようやく再会した、チカちゃんと花嶋氏も、金谷の服が変わっているのに驚いた。
「どっかの馬鹿が、人にコーヒー掛けてくれたんだよ」
「おお! 大変だったですね!」
金谷の説明に納得するチカちゃんとは別に、花嶋氏が何かニヤニヤしてらっさるんですが。
「……なんも、ご期待に添える事してませんよ?」
「そんな野暮な事訊くかよ。顔見りゃわかる」
花嶋氏の言葉に、首を巡らせる。
件の眼鏡は、サイズが大きい俺のパーカーから少しだけ指先を出して、チカちゃんとキャッキャしていた。
最初、あんなに嫌々着てた筈の服が、すっかり馴染んでる。
てか今おれ、あの服にすら嫉妬しそうなんですが。
金谷の素肌に触れてるんですよ、服が。
「ああ、俺パーカーになりたい」
「壁辞めたのか?」
「……うん、壁じゃ俺やっぱ我慢できない」
まとわりつく布に嫉妬しながら、俺たちは夕暮れの遊園地を後にした。
……………………………………
大幅加筆分が、なんか逆に説明調になって失敗<(_ _)>
なかなか、進展しない二人です(笑)
同じ所で、足踏みしてる感じ。
平行線なんだろうね、まだ。交わらないの。
可愛い忍様を、ちょっと意識してみました。
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。