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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2009年08月03日 (Mon)

 高梨と克巳さん出会い編。  傾向:包容×俺様誘い受 / 衝撃的 / 初対面

 ※お題に則っていないため、無駄に長文です

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 週末の洋風居酒屋は、若いカップルでごった返していた。
 明日から世間は三連休、と浮かれて話す後ろの席の男の声に、溜息をついて俺はくちゃくちゃに丸まってテーブルに転がってるチケットを摘まみ上げた。
 まぁ、見えてた結果というか。
 さすが高校教師、思ってた程暇じゃないっていうか。
 学生時代から、ひっついたり離れたりしながらも、危うい線で頑張ってた相手に、今日いよいよ引導つきつけられた。

「……何も、連休前になぁ」

 一応、これでも年度末の忙しさを掻い潜って、予定やりくりしたんだぞとか。
 言ってやりたい事は山のようにあったが、相手はそんな俺の言い訳なんて端から聞く耳が無かったようで。
 来てそうそう渡した、見たがってたプロ野球観戦のチケットを丸めると、あっという間に消えていった。
 フラれたショックが大して大きくないのは、多分薄々自分でもこうなることを予見してたからだ。
 そうは言っても、落ち込むしヘコむものヘコむ。
 付き合う対象が、同姓って時点で、この先俺は普通以上に出会いから関係性を築き上げるだけの苦労を要するだ、ってところが一番考えると面倒でげんなりきた。


 気分を変えるのと、もう少し静かな場所でゆっくり飲みたいと思い、腰を上げたら背中が何かにぶつかった。

「あ、すみませ……」

 振り向いた先にいたのは、天使だった。
 いや、一瞬そう錯覚させるような、そんな綺麗な生き物が足元に蹲っていた。
 白すぎる肌に、緩いウェーブがかかった髪は淡いミルクティー色で。
 これを人間だと称するのは、俺には出来なかった。

「大丈夫ですか?」

 俺にぶつかった為に倒れたのかと思って、手を貸そうとしたら、相手はものすごい勢いで俺を睨みつけてきた。
 前言撤回。天使じゃなくて、アレ……えぇと、ユキヒョウ?野生動物的な美しさだ。

「俺の通り道に立塞がるな! しかも、俺を見降ろすなんて百年早いんだよ!」
「あ、すいません」

 素直に膝を折って、もう一回手を差し出せば、鼻を鳴らしてユキヒョウは俺に腕を伸ばしてきた。

「いい心掛けだ」
「どうも。怪我とかないですか?」
「俺に怪我させたら、お前一生呪うぞ。それに俺はそんな、無様な真似しねーんだよ」
「はぁ」

 どうも、色々難しい。この見目麗しさに反した、極悪な態度。
 頭の片隅で、ヤバい人だと思いながらも、眼が逸らせなかった。
 ついでに、落ち込んで苛々している俺の神経を、相当刺激するこの尊大な態度。
 普段温厚な俺だが、衝動的にものすごくこの目の前の生き物を泣かせてみたくなった。

「じゃあ、怪我が無いかどうか、しっかり確認できる場所行きませんか?」
「あ?」

 訝る相手を有無を言わせず、立ちあがらせる。連れは……いないみたいだな。
 ただ、みんなが注目している。
 ホストとか、お水系の人にしちゃ、今この時間にこんな所いるのもおかしいし……何者なんだか。
 目新しい玩具を手に入れた気分で、俺はウキウキしながら会計しにレジに彼の腕を引いて向かう。

「お詫びに、お代は全部もちますから」
「……何者だ、お前」
「貴方こそ、何者ですか」

 意外に素直についてくる相手の、ほんの少し下にある顔をわざわざ、背を屈めて見上げる。
 にやり、と口角を上げて笑った顔は、今まで見たどんな美人よりも迫力がある美しさだった。
 レジでぽーっとしてるお兄さんにカードを押し付け、会計を済ませて店を出る。
 外には、咲き始めのまだ蕾が固い桜が見えた。

「俺は、この世界に舞い降りた天使だ」
「あぁ、やっぱり」

 酔ってて、このテンションだよな、この天使様。
 素だったら、どうしよう。
 疑問に思いつつ素直に受け止めた俺に、天使は一瞬だけ言葉を飲んだが、すぐに調子良く話し出した。

「この俺に出会えた奇跡、盛大に感謝しろよ庶民。お前のような、デカいだけでロクに使いモンにならねーようなモンをぶら下げてる男が、気安く触れる事が出来る存在じゃねーんだからな」
「天使って、案外下品なんですね」
「下品じゃねーよ、世の理だ」
「……俺のが使い物になるかどうか、天使様としては試す気はありますか」

 酔っぱらいの戯言だと、思って吹っ掛けた俺に、天使様はすっとそれまでの尊大な表情を引っこめた。

「お前、俺を抱きたいのか」
「まぁ、ぶっちゃけたところ」
「――俺が、綺麗に見えるか?」

 さっきまで感じていた、野性味も尊大さも、掻き消えた顔をする天使様に、使いモンにならない指摘をされた俺の息子が一生懸命自己主張をし始めた。

「見えますよ、すごく」
「なら、許可する。お前のが、使いモンになるかどうか、試してやる」

 超上から目線で許可を頂いたものの、心なしか顔が青ざめている気がして、俺は先を歩きだした天使様の腕を掴んで止めた。

「あの! 俺今夜は結構飲んだから、やっぱり日を改めてじゃダメですか」
「逃げる気かよ、意気地なしの租チン野郎」
「いや、そうじゃなくて。今夜は、何もしないで貴方の事、もう少し教えて下さい。俺、フラれたばっかで暇で暇で、この連休やることないんです!」

 睨む眼力に、少しだけ迷いが浮かんでいるのが、見て取れる。
 なんだろう、この人。お水とかソッチ系で、すげぇ慣れてる人だから吹っ掛けて来たんじゃなかったのかよ。
 印象がコロコロ変わり過ぎる。

「俺の部屋が嫌なら、貴方が落ち着ける場所で構わないですから」
「俺の魅力に惑わされて、いきなり襲ってきたりとかしねぇだろうな、租チン」

 往来でその呼び名はどうかと、辺りを伺いながら、俺は腕を掴んだまま近くのタクシーに天使様を押し込んだ。

「……あの、高梨です」
「あ?」
「呼び捨てで構いませんので、せめて名前で呼んでもらえませんか。天使様。で、どこまで?」

 タクシーの運ちゃんが、不審気に俺らをバックミラー越しに見つめながら、ハンドルを指先で叩いている。
 天使様は、一つ息を吐き出すと運ちゃんに向かい指を差した。

「中町のツリータワー」

 ……運ちゃんが、睨みつけたのがわかったが、俺は手を合わせ出発を頼み込んだ。
 降りた時に払った、ワンメーター分の料金と運ちゃんの苦い顔が、なんとも俺も心苦しい。


 けど、それが俺と克巳さんが出会った記念すべき日だった。
 その3日間、克巳さんの住む部屋でお互い話すだけ話して、俺はなんとなく確信した。
 ああ、この人は本当に俺の為に降りて来た天使なんだなと。
 あ、ちなみにようやく克巳さんからお触りの本当の許しが出たのは半月後で。
 エッチするまでに至ったのは、そのまた半月後というのは、またのお話。


-----------------------

 お題なく、字数制限なく書き出すとグダグダになる法則。
 個人的にすごく、この二人は面倒くさい感じで好きです。
 克巳さんのアレさ加減とか、どこまで許されるかのギリギリ感とかが好きなのかと。


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 萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。