オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
夕飯を買いに、スーパーに入ったら、見覚えある人影が二つ。
その距離が、いつもより近く見えたのは、眼鏡の度が歪んでるせいだ。
指なんて絡めてない。
顔見合わせて、笑ってなんかいない。
「チカ達も夕飯の買い物?」
「あ、金谷君!」
ぱっと離れた指は、見なかった振りだ。
チカは駆け寄って来ると、バカ嶋から離れたとこまで俺の手を引いて行った。
耳元に、秘密を告白するように手を添えて小声で、話しかけてくる。
「……あのね、金谷君の作戦成功したよ」
「そ、よかったね。で? 何したの」
「スクール水着、小学生女子用を着て挑んだです」
鼻水吹き出しかけた俺に構わず、自慢気なチカはニコニコしている。
……本当にこの子には、冗談が通じない。
俺が本気で、お前らの行く末案じるアドバイスするわけないじゃん。
なんでチカは、それを真に受けるかな。
「……へぇ、それであのバカ嶋は、そんなチカにムラムラ来たんだ。ド変態だね」
「あ、えと、それはなくて……告白されました」
「は?」
告白?
空耳だよな?
「お付き合いしましょう、て。俺を束縛したいって。俺もね、花嶋君独占できるんだって!」
……嗚呼、この立ちくらみが、日射病のせいならいい。
ナニソレ。
俺はまた、敵に塩を送ったの?
超援護射撃?
「よかったね、チカ」
感情込めず、棒読みで伝えた言葉にも、チカは嬉しそうに笑うだけで、その無邪気さが無神経に見えた。
チカが悪いんじゃなく、俺が悪いんだけど。
「おい香野、帰るぞ」
「あ、はい!じゃね、金谷君!ありがとー!」
渇いた笑いで見送り、俺は肩を落とした。
はは、もう本当俺馬鹿。
「最初っから、冗談で言っときゃよかったなぁ」
チカが好きだよ、って。
今なら、確実冗談で流されそうな俺の気持ちは、重石をつけて東京湾に沈めよう。
おめでとう、チカ。
笑って言える、俺のこの神経を、今夜は自分で褒めてやろう。
夕飯のおかずではなく、缶ビール500ml缶6本パックとつまみ惣菜を大量買い込んで、俺はスーパーをあとにした。
ちょっとだけ、夕焼け空に恨み節を吐き出しながら。
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一つの恋の成就の裏にある、失恋。
かなやん中心に、二部は進めたいと思います。
そして、花嶋と香野を応援して下さった皆様に、心からの感謝申し上げます。
ありがとうございました。
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。