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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2009年07月29日 (Wed)

 たまには、奥さんだて嫉妬するんです。 傾向:男夫婦 / 胸ポケット / 名刺

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 それは、洗濯機にほうり込むワイシャツの胸ポケットから飛び出した。
 ピンク色の光沢ある台紙に、丸みを帯びたフォントで、
 『あい いつでもTELLしてね』
 と、携帯番号とメールアドレスが印刷されている。

「ふーん、ウチの旦那サマもやるじゃねーの」

 祐司は拾いあげた名刺を、エプロンのポケットへしまい、いつもより豪快に粉石鹸を洗濯機にほうり投げた。


 ***


「なんだ、これは」
「ワイシャツの胸ポケットから出て来たから、大事なモンなんじゃねーの?」

 帰宅した賢の前へ、ピンクの名刺を突き付ける。
 しかし当の本人は、訝るばかりで名刺に触れようともしない。

「大方、部長あたりが冗談で俺のシャツに忍ばせたんだろ」
「てか、そーいう店行ったとか聞いてねーし!」
「付き合いだ、だれが好きこのんでケバい女だらけの店に出向くか」

 呆れ顔で溜息をつく賢に、しかし祐司はまだ眉間を寄せ険しい表情だ。
 面倒な事になったな、と思う反面、祐司のあからさまな嫉妬が心地いい。
 言いくるめのも、宥めるのも、賢にはさして難しい事ではない。
 だからこそ、悔しげに唇を噛み締める祐司の滅多に見られない表情を、楽しみたかった。

「……何笑ってんだよ」
「いや。久しぶりにお前が、本気で怒ってるなと思っただけだ」
「だから、なんでそれで笑うんだよ!」
「嬉しいから、だ」

 テーブル脇に立つ祐司の腕を引き寄せ、自分の膝の上へ座らせる。
 苦笑混じりの賢に、祐司はますます目尻を吊り上げた。

「怒るな、クセになるぞ」

 眉間を指先で叩き、凝り固まった筋肉を解すように撫でる。
 まだ、憮然としている裕司の額に、賢は自分の額を押し当てた。

「あんな香水臭い女より、俺は柔軟剤や食器洗剤が染み込んだお前の方が、何倍も興奮する」
「変態」
「選んだのは、お前も同罪だろう? 祐司」
「じゃあ、もうそーいう店行かないか?」
「お前は、俺が出世しない方がいいのか」
「俺ムカつかせてまで、お前こそ出世してーのかよ!」

 祐司の切り返しに、賢は思わす眼を見張った。

「……そうだな、悪かった」
「その名刺の女に電話とかしたら、お姉さん家に泣きながら行くからな。賢が水商売の女と浮気したっつって」
「ものすごい抑止力だな、それは」

 珍しく一本取られたと思いつつ、賢の頭の中はすでにどうやって機嫌をとるか、それ一色に染まろうとしていた。

「お前の夢の為の資金が貯まるまでは、少し我慢してくれ。モテる旦那様で、鼻が高いだろう?」
「……うっさい、ばか」

 今夜は完全に主導権を握られるな。
 賢は苦笑しつつも、祐司の紅くなった頬に一つキスを落とした。

--------------

 賢が何と言って、会社にこの生活の事を話しているのか、とかはそのうち明かしたいと思います。


 

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