オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
夜遅い、学校のプール。
「早く入れよ」
「そうそう、俺ら親切に特別授業してやってんだから」
まだ清掃をしていない、落ち葉やゴミの浮く水を背に、全裸の少年が震えていた。
少年を取り囲むのは、同級生でクラスの中心グループ。
そのリーダー格である一人は、フェンスに寄り掛かり、様子を眺めている。
「無理、本当に俺、水は……!」
弱々しく首を振り、拒絶を示す裸の少年に、傍にいた少年は肩を思い切り掴んだ。
怯えた眼を向けた少年に、酷薄な笑みを見せる。
「自分で入れねーんなら、手伝ってやるよ」
踵が一瞬、コンクリートから浮いたと思った時には、少年の細い身体は水面と飛び込み台の間に浮いていた。
重力に従って、少年の身体が真っ暗な水に吸い込まれる。
派手な水音が、周囲に響き渡った。
「……おい、あんま派手にやんな。面倒よ面倒臭ぇ」
「んだよ、こんくれーで死なねぇだろ」
フェンスから身を起こし、リーダー格の少年は、突き落とした一人を睨む。
全員の視線は、波紋が収まったプールに注がれていた。
***
上がって、来ない。
最初はゲラゲラと笑って見ていた少年達だが、次第に青ざめた顔になり、終いにリーダー格に詰め寄っていた。
「お、俺ら、知らねぇからな!関係ねぇっ!」
逃げるようにプールサイドを駆け出す集団を、リーダーは咎めるでもなく、振り向きもしなかった。
着ていたシャツを乱暴に脱ぎ捨て、汚れた水面目掛け勢いをつけ飛び込む。
視界の悪い水の中で、呼吸を止めリーダーは、消えた少年の姿を捜す。
ぐったりと、水底に沈む少年を見つけたリーダーは、全身が凍りつく思いで傍に近づいた。
がむしゃらに藻を掻き分け、水面へ彼を抱え向かう。意識のない少年を、コンクリートに横たえ、リーダーは大きく咳込んだ。
「は…ファーストキスがこれって、色気なさすぎだな」
皮肉げに笑みを零し、リーダーは少年の軌道を確保すると、胸が上下するのを確認し……少年の冷たい唇へ口づけた。
呼吸を送り込み、胸を押す。
普段呼びたくて呼べない、少年の名前を必死に呼ぶ。
今だけは許してほしかった。
彼を呼ぶことを。こんな風に口づけることを。
――水を吐き出し、少年が薄く目を開けた時、最初に視界に入ったのは、頬を濡らした一番嫌いな相手の姿だった。
呼ばれた声はきっと幻聴だ。彼はあんな風に呼ばない。
少年は濡れた身体を抱きしめる相手に身を預け、一筋涙を零した。
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ちょっと以前のとは、趣を変えてみました。今回は攻二人×受一人
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【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。