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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2009年07月29日 (Wed)

 賢独白です。【過去編】に少し出てきた、幼馴染のエピソード。

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 爽やかな風が吹く、小高い山の中腹に、幼なじみの眠る墓はある。
 手土産は、いつも同じ。
 あいつの好きだった日本酒と、チョコレート。
 大概、酒好きは辛党だという常識を覆し、あいつはチョコレートを肴に酒が飲める男だった。

「誕生日おめでとう、夏紀」

 カップ酒を開け、墓に向かい掲げる。
 俺はそれに、一口くちをつけた。

「俺達、間もなく30だぞ。……あいつも」

 10年来の付き合いの俺より、大学で出会った友人と兄弟のように仲が良くなった夏紀は、俺にその友人の話をしつこく繰り返した。
 あの頃はまさか、その相手と――男と、籍を入れることになるとは、思ってもいなかったが。

「夏紀の勘は、正しかったな」

 正反対の性格の男は、逆に興味を引いた。
 そして、――夏紀の消失を機に関係が一変した。
 あいつ……祐司は、まるで夏紀が迎えに来てるかのように、日に日にやつれ衰えていった。
 俺は、二人も友人を無くしたくないがために、ただ必死に生に執着させるために、祐司を抱いた。
 関係を、強要し続けた。
 
 今考えれば、それすらも夏紀の計画だったのではと、疑いたくなる。
 それは多分、きっと、俺達が幸せに暮らしているからだろう。
 幸福な、結果論。

「祐司から伝言だ。たまには新婚家庭を冷やかしに、化けて出て来いと」

 夏紀ならば、間違いなく俺達は喜んで迎え入れる。
 会えるのならば、本当にもう一度会いたい。

「……お前なら、俺達が爺になってそっちに行っても、すぐに見分けがつくよな?」

 お前の歳を、どんどん越して行くけれど。
 俺達は、ずっとお前を大事な友人だと思っている。
 いつかまた、三人で、向こうで酒を飲もう。

「だから、あんまり早く迎えに来るなよ」

 まるで、返事のように、風が木々の葉を揺らした。

 夏紀、お前に聞かせる惚気は山ほどあるからな。
 楽しみに、覚悟してろよ。
 そして、思い切り祝福してくれ。

----------------

 賢と夏紀君、そして祐司の話は、もう少し練って書きたいと思っています。
 今の新婚バカップルになるまでの二人の方が、私には本編だったり。

 


 

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