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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2009年07月28日 (Tue)

 その3。夏祭りの1コマ。 傾向:いじめっこ×いじめられっこ : 三角関係 : 待ち合わせ

拍手[2回]



 ――来ない。
 腕時計で時間を確かめ、芦名泉は鳥居に背中を預け空を見上げた。
 浴衣姿の若者や、親子連れが、泉の脇を摺り抜けていく。
 今夜は、神社の夏祭りが行われていた。…つい、5分前まで。
 約束と言えない待ち合わせ時間は、とうに過ぎている。
 『彼ら』は多分、自分に誤った集合時間を伝えて、既に祭を楽しんだのだろう。
 泉は、鳥居を出る集団を見送り、俯いた。
 去年までは、自分もあんな風に友人達と普通にはしゃいでいたのに。
 憧憬の念が、込み上げてくる。

「芦名?」

 不意に肩を掴まれ、泉は弾かれたように顔を上げた。
 頭髪の薄い、くたびれたワイシャツを来た、見覚えある男が立っていた。
 補導、と腕章を着けた数学教師を見つめ、泉は小さく頷いた。

「外出時間過ぎてるぞ。大人しそうなお前でも、羽目外す事があるんだな」

 学校にいる間の泉は、存在感がまるでない。だから、勝手にそう印象づいているのだろう。
 教師の不快な視線と掌に、泉は掴まれた肩を逃れるため身をよじった。
 以前から、この教師は特定の生徒を贔屓し気に入らない生徒を排除したがる傾向があり、泉は苦手だった。
 特に目を付けられていたわけではなかったが、絡んでいる連中と一緒の所を何度か見られているからか、教師の態度は執拗だった。

「反抗的だな、芦名」
「そういうわけじゃ……」

 通り過ぎる人々は、腕章を着けた教師を認めると、補導の一環と思うのか誰も立ち止まらない。
 泉の薄い肩を掴んでいた手が、次第に二の腕に這うように降りて来た。
 本能的に、恐怖を感じ身を固めた泉に教師は下品な笑みを浮かべている。
 ――これも、『彼ら』の仕掛けの一つだろうか。
 諦めた泉が、身体から力を抜いたその時だった。

「芦名!」

 割り込んだ声に、教師が慌てて飛びのいた。

「樋渡! お前までこんな時間に出歩いて!」
「芦名を迎えに来たんです、帰っていないと連絡があって」

 クラス委員長を勤める樋渡に対しては、教師は強く出れないらしい。
 二言三言注意を告げると、気をつけて帰るように付け加え解放された。


 手首を掴み隣を歩く樋渡を、泉は恐る恐る見上げ問い掛けた。

「木村達は……?」
「夕方早く来て、女ナンパしてとっくに消えたはずだ」

 やっぱり、と俯いた泉の耳に樋渡の溜息が聞こえた。

「迎えが俺じゃ不満か?」
「え?」
「なんでもない。……祭、見たかったな」

 残念、と呟いた樋渡が泉を見つめる。

「次は浴衣で、来いよ。雰囲気出すのに」
「樋渡と、回るの?」
「不満かよ」
「……俺で、いいの?」

 泉の言葉に樋渡は眼を細めると、すっと視線を外し、頷いた。
 掴んだ手首に、わずかに力を込めて、樋渡は呟いた。

「お前がいい」


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 夏らしく。
 もっといじめをしてる描写を入れたいんですが…なかなか。


 

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