オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「あ、いらっしゃいませ松原さん」
今日も爽やかな顔しやがって。
すっかり目的が代わりつつある、近所のレンタルビデオ屋。
はっきり言って、無駄金を投じてる。薄給の中から、阿呆か俺。
しかし、僅かな金で、あの笑顔と脳内シアターの糧が得られると思えば、高くはない。
……そうでも思わねーと、正直やってけねぇんだ。
***
「今日、随分早くないですか。明日から連休だから、飲み会とかしてこなかったんですか?」
「この不景気で、職場でわざわざ飲みになんて……ない」
「そうなんですか」
レジを打ち、袋にAV詰めながら、起用に表情変えて兄ちゃんは話す。
この俺の、至福の時。
頭ん中じゃ、すっかり肉奴隷な兄ちゃんだが、実物は犯しがたい清潔感が漂う。
罪悪感と幸福感に挟まれるという、精神的Mプレイをやり過ごし、袋を受け取りカウンターを離れようとした時だった。
「松原さん、それ、どうしても今すぐ見なきゃダメですか?」
「…は?」
何がだ。コレはほぼ見ないが、店から一歩出たら、俺の脳内シアターはスイッチオンだぞ!
「あ、もし迷惑じゃなければ、ちょっと飲みに行きません? 俺、珍しく明日休みで、今日もう上がりなんで」
飲みに行く→酒を飲む→酔う→お持ち帰り。
『明日は休みだし、今日は帰りたくないな、なんて』
『このベッド、松原さんの匂いがする…』
『もっと親しくなりたいと思っちゃ、ダメ……ですか?』
って、そういうことなのかぁぁぁ!
めくるめく、あとは官能の世界で素敵なプレイに沸けと!
俺の股間が真っ赤に燃えて、愛を掴めと血が沸騰するのか!
「松原さん?」
いかん、すっかりあっち側に逝っていた。
戻れ俺。まだ川を渡るには、やり残した事が多すぎる。
「……なんで俺、と」
喉に張り付く声を絞り出せば、照れ笑いを浮かべた顔が俺を見つめてきた。
は?何これマジか?
マジで俺にフラグ立ったのか?
いやそんな馬鹿な、そんな都合のいい妄想が現実になるワケがねぇ!
ごくり、と喉を鳴らした俺に気付かず、店員は恥ずかしげに口を開いた。
「んー…エッチ談義、ていうかAV談義がしたいな、と。松原さん詳しそうだし、酒飲みながらには、最高の肴でしょ?」
「あ……?」
「松原さんの事勝手に、俺AVの師匠だと思っててて、一度そういう話したいなって」
はっはっはっ、そぉら見ろ。
めっちゃ落胆したわボケ!
それにおま、俺に切腹しろってか?
AVなんざ、BGMにすら最近ならねーぞ!それともアレか、催眠ネタで、あんたを思いのまま操る内容が、毎日のズリネタですと言えってか!
「……あ、やっぱり急過ぎてマズイですか?」
「や、そんなんじゃねーよ…暇、だし」
「よかった~」
そんな眩しい笑顔で、笑うなよ。
安心すんなよ。
プライベートなあんたを見たら、俺の妄想は歯止めが利かなくなるだろ。
肉奴隷なんかじゃなく、ちゃんとしたパートナーのあんたばっかり、妄想しちまうだろ。
妄想のレパートリー増やすなよ、すっかりお前頭ん中じゃ俺の嫁だぞ畜生。
いつにない緊張感に襲われながら、俺はほぼ見ず知らずの男と連休前夜の街に繰り出したのだった。
あぁこれは、現実であってくれ。
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松原さんを本気でキモいと思うか、可哀想だと思うか、分かれるところだと思うんですが。
私自身は、応援してやりたいですけどね、松原さん。
そんな、松原さんは脳内ヴォイスがケ●コバです。見た目はもっと、イケてない感じでイメージしてますが。
例えるなら、つぶや●シロー外見でケ●コバヴォイス。そんな感じです。
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。