オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
真っ暗。真っ暗です、周りなんも見えないです。
「んだよ、なんも出ねぇじゃねーか」
「で、ででででも、雰囲気ばったりじゃ…!」
「ばったりでどうすんだ、馬鹿」
花嶋君が、実は免許を持っていまして。
不承香野、ただいま助手席に座らさせて頂いてます。レンタカーだけど。
ただ、周りはラブリーとは正反対の雰囲気ある、でっかいお墓のような石が並ぶ山の中。
「ちっ、ガチの心霊スポットだだっつうから来たのに、つまんねぇな」
「で、ですよね」
「あ……、香野」
「は、はいッ?」
「振り向くなよ。今お前の首に、白い指先が絡ま」
「ひぎゃあああああ!!む、無理無理、ごめんなさい俺っ、生きてる人の役にも立たないから、死んだ人頼られてもなんも出来ません!」
バックミラー越しに、俺を横目で見てた花嶋君は、しばらくして盛大に吹き出した。
ハンドルに上体倒して、笑い転げる。
「おっまえ、幽霊相手にもその態度かよ」
「えっ、だっだって、死者に下手に期待持たせたらダメだって、ばーちゃんが…」
「ま、正しいんじゃね。それは。ただ、一つ訂正だ」
運転席から伸びて来た花嶋君の腕が、俺の肩を抱いてバックミラーを睨みつけた。
「俺以外の役に立たせるつもりはねぇんだよ、失せろ」
見えない、後部席で、誰もいないのに息を飲む『気配』がした。
びっくりする俺に、眼力凄いまんまで花嶋君が振り向いた。
「誰んでも、ベタベタ触らせんなタコスケ」
……え、それはさすがに、理不尽だよね?
いくら俺でも、それはわかりますよ?
ぼーぼー…ん?おうぼうだ、花嶋氏!
「あの、花嶋君……」
「作戦失敗だな。帰るぞ」
「へ? へい」
作戦……なんの作戦だったんだろ。
えぇー俺、もっと怖がった方がよかったのかな。
めちゃくちゃ怖かったんだけどなぁ、ダメかなぁ。
「香野」
「はい!」
「右手出せ」
「へ? 右……」
両手を眺めてから、少しなやんで右手だと思われる方を、花嶋君に向けて出した。
その手を握り込まれて、シフトレバーの上に乗せられる。
「安全運転の、お守りぐらいには役に立つだろ」
片手でハンドルを握りながら、そう言う花嶋君がめちゃめちゃかっこよくて。
一人で叫びたい気持ちのまま、真っ暗な山を下りだした俺達の初ドライブでした。
……………………………………
ラブラブな雰囲気に持って行く肝が足りない、花嶋さんの肝試し作戦。
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。