オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
今時、ラジオに投稿って、相当暗い趣味なんだろうな。
でも、外界と俺が繋がる、唯一のツールなんだ、ラジオが。
ネットは、言葉の裏の裏を考え過ぎて、掲示板もブログも嫌い。
片想いにも似た、一方通行なこの行為だけが、あの人と俺を繋ぐ、ささやかな糸。
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『週に一度のこの美声、みんな心待ちにしてたか?』
ベッドの上で、膝を抱えて、ヘッドフォンでそれを聞く。
ちょっと、声が掠れてると思ったら、彼は先回りしたように話し出した。
『先人達は、よく言った。窓開けっ放しにして、扇風機に当たって寝たら本当に風邪引くな』
スタジオ内の笑い声に釣られて、俺も笑う。
体調は問題ないと話す彼に、安心して緊張感をようやく解いた。
土曜日の深夜、たった30分だけの、しかもAMラジオ局の番組を知ったのは、偶然周波数を弄っていて繋がったからだった。
聞こえてきた、好きだった歌に手を止めた。
曲の後に聞こえた、パーソナリティの声に、息を呑んだ。
昔、好きだった男の声に似ていたからだ。
あっという間に終わった番組に、それから慌てて番組表を調べた。
『YAMATO』と名乗る男の声が聞きたくて、俺はそれからそのラジオ番組をチェックするようになり、番組にメールを送るようになった。
『お、今週も“シマネコ“はメールくれたな。サンキュー』
短い、童話のような話をオチをつけて発表するコーナー。
俺はそこの常連になった。
俺の書いた文字が、彼の声になって耳を通じて帰って来る、喜び。
間違いなく、繋がった瞬間が、たまらなく好きだ。
『て、ことで今週もラストの曲なんですが』
短い逢瀬が、今日も終わる。
膝を抱えている腕に、俺は顔を埋めた。
俺だけが、聞きたくて逢いたくて堪らない関係。
繋がるのは、ささやかな電波でのみで、切ない。
『この曲、好きだった奴がいたって前に話したけど。そいつが俺の話を聞いてるなんて、絶対ねーと思ってたけど。最近、どうもそうじゃない気がして来たワケ』
あの曲が、流れていた日の話か。
彼のそんな存在が、羨ましいと素直に思う。
『というわけで、ラストはまたまた“同じ星“…絶対聞いてる、あいつに』
離れた空の下で、互いの存在を感じ合うその曲が、大好きだった。
今も、離れた場所にいる彼とのささやかな繋がりに縋りながら、俺の夜は更けていった。
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【繋がる】というお題の下、創作したお話です。
あちらのサイトさんが、急にサーバー関係のトラブルで繋がらなかった事がありまして。
その再開記念のお題に寄せたモノです。
関係性は、すごく似てると思う。ラジオのDJとリスナー、サイト管理人と閲覧者。
ただ違いがあるのは、ラジオは双方向が可能な事。
サイトは可能だけれど、文字だけのコミュニケーションでは、色々と難しい面もあったりで。
そんな事も差し込みつつ書いたので、暗いから絶対評判が悪いと思ったんですけど。
予想外に、温かいお声が頂けて嬉しかったです。
本当に、流行りにはノレてないのに、優しいなぁとこっそり涙してます!
そんな感謝っも込めての、一方通行が双方向に繋がるお話。

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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。