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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2009年08月31日 (Mon)

 引きこもり日常。

【問題】
 
 籠の中の鳥or退屈な日々でお話求むです

拍手[2回]



 見える外界は、ベランダに面した窓からの世界のみ。
 一日、太陽の位置を眺めている。

 嫌いな時間帯は、朝7時から9時の間。
 朝独特の慌ただしい音、通りに駆け出す足音。
 周囲の音が無言で、俺を非難している気がする。

 引きこもり、と自覚するようになって何年になるんだろう。
 訪ねる人間は、宅配便の配達員ぐらいだ。
 幸い両親が、こんな俺を養えるだけの蓄えを遺してくれていたので、生活はギリギリ、ネットを通じて買い物をして凌いでいる。
 今日は、その宅配便が来る事に少しだけ、そわそわしていた。

 何年かぶりに、服を買った。
 陽に当たらなくなり、すっかり色が抜けた肌に、昔着ていた服が似合わない気がして。
 そして、あの人に会うためにせめてもの礼儀として。
 いつもの配達員が来るのを、今日はそわそわしながら、待っていた。


 ***


「……なんか雰囲気、違いますね。いつもと」
「え?」

 玄関に段ボールを置いて、いつもの担当者は俺を見て、目を丸くした。
 伝票にサインをしていた俺が、慌てて顔を上げれば、すっと顔を伏せられてしまった。

「すみません、余計な事言いました」
「い、いや。そんな…ちょっと俺も、心境の変化…というか」
「そうなんですか」

 俺より確実に若い、生命力に溢れた配達員が、大人びた表情で、静かに微笑んだ。
 何人もいる配達員の中で、この人だけは唯一、俺に話しかけてくれる。
 短い会話ながら、俺が人として生きているのを思い出せる瞬間だった。
 だからつい、口が滑ってしまった。

「……外に、出てみようかと思うんだ」

 配達員が、外に向けドアを開けたまま、振り向いた。

「なんか、鳥籠から鳥が逃げる気分ですね。……そんな宣言に聞こえましたよ」
「鳥なんて、綺麗なもんじゃないよ……いい歳した男だから」
「でも俺にしたら、餌を与えに来る気分だったんで。勝手な思い込みなんで、気にしないで下さい」
「……餌、運んでるのは、事実だし。飼われてるのかな、俺」
「だと、よかったけど。残念ながら俺は、飼い主じゃないので」

 通路に出た彼は、目礼してエレベーターホールに向かう。
 別れ際の顔が、いつもより少し、疲れていたように感じた。

「暑いんだな……外」

 外気に当たりながら、トラックに乗り込む姿を見送る。
 本番は、明後日だ。

 ……………………………

 外出時の、おめかしを心配頂いたので、洋服買うには…と考えまして。
 唯一の接触者です、シマネコ氏の。
 配達員が、彼に対してどんな感所を頂いているかは、推して知るべし…ということで。お願いします。


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