オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「……何?」
「いや、襟足と後れ毛が、眼福ものだなと」
湯上がりの身体を、旅館備え付けの浴衣で包み、濡れた髪を小さいタオルで巻き現れた祐司に、部屋で寛いでいた賢は眼を眇めた。
照れ臭い気分で、卓の前に膝を付き、祐司は賢を軽く睨んだ。
「親父臭いよ、お前」
「素直な感想じゃないか。男風呂から、その色気振り撒いて来たのかと思うと、若干腹立たしがいな」
差し出された湯呑みを受け取り、賢は苦笑いを浮かべた。
珍しくストレートな賛辞に、祐司は顔を紅く染め、タオルで口許を覆う。
賢の夏休みに合わせ、計画した小旅行。
近場の温泉宿へ、一泊二日の心の洗濯に来ていた。
海の見える窓辺に立ち、賢は改めて室内を見回した。
「奮発した甲斐があったな」
「え、そんな高いのかよ? バッカ、無駄に金使うなよー」
「……来てから言うな」
溜息を吐き出した時、室外から仲居が呼ぶ声が聞こえた。
「お布団敷きに伺いました」
「あ、お願いします」
手早く、続き間の寝室に二組の布団を敷き、年配の仲居は柔和な表情を浮かべて振り返った。
「仲のよろしい、ご兄弟ですねぇ。お二人とも男前で、お母様が羨ましいですよ」
「あ……まぁ、そぉっスね」
曖昧な笑みで言葉を濁し、祐司は賢をちらりと窺った。
宿帳には、兄弟として記入している。
あながち間違いではないのだが、心情的には、やはり複雑だった。
人当たりのいい仲居を見送り、祐司は並んだ布団を見つめて呟いた。
「……兄弟だって。新婚旅行つったら、あのおばちゃんびっくりすっかなぁ」
「するだろうな、多分」
寝室に回り、賢は離れて並ぶ布団をそっと押した。
距離を詰め、完全に布団を密着させる。
「他人がどう見ようと、どう考えようと、俺達が新婚旅行だと思っていれば、それを楽しめばいい」
「賢……」
「お前と一緒になれて、一緒にここへ来れて俺はよかったと思っている。充分だろ?」
「賢!」
せっかく綺麗に敷かれた布団の上へ、祐司は勢いよく賢に抱き着いたまま転がった。
ぎゅ、と首にしがみつく祐司の背中を、賢は優しく撫でる。
「さて、その振り撒いた色気の始末でも付けるか」
「……だから、いちいちエロ親父くせーんだよ」
「ストレートに、欲情した、と言った方がいいのか?」
「ば……っ! それもハズい!」
結局、二組の布団は一組しか使用されることは、無かったという。
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…季節が大分通り過ぎてしましいましたがorz
二人で出かける、同じ名字で一つの部屋に泊まる。
それって、外から見たら他人はどう見てるのか・見るのか。
忘れちゃいけない部分なのかなと、思ったり。
無駄に現実味を、気にし過ぎるタイプですいません。
「BLはファンタジー」という逃げ口上で、大ウソ振りかざすのは如何なモノかなと。
密かな信条です。
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。