オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
初めて見かけた時から、妙に引っ掛かる奴だった。
周りの連中と、談笑してるのに嘘臭い作り笑顔で。
光が反射する眼鏡の奥は、冷めた視線で。
『優秀で美形なのに人当たりがいい』と、校内で噂されてる有名人――金谷忍。
なんでそんな、乗り気じゃないモノに付き合ってます風に、笑ってんのか、知りたいと思った。
***
「……金谷君」
「何、チカ」
「あ、あの、後ろのテーブルにいるのは、お友達じゃないですか?」
「え、チカなんか見えるの?嘘、俺の後ろ空席なんだけど。なんか未練がましい幽霊でも憑いて来たかな」
「幽霊っ!? 幽霊なの!!」
勝手に着いて来たのは認めるが、そう来たかよ。
金谷観察日記が、3冊は出来そうな程付き纏いして数週間目。
初めてその日、俺は今までと違う金谷を見た。
「て、いうのは冗談で。ちょっとストーカー、チカが怖がるから普通にこっち来たら?」
「え、混じっていいのか?」
「後ろでみられてるより、マシ」
今までガン無視だった金谷が、同席を許した。
それ以上に驚くのが、このチンチクリンな相手に対して、正直引く程優しく甘い声で、柔らかい表情で、心から愉しむように応対してる。
「初めまして、香野知佳です!金谷君とは中学からお世話になってます!」
「あ、ども。金谷と同じ学部の永戸デス。トモヨシ?チカじゃないの?」
「う……それは、トモヨシは長いって、金谷君が」
「チカはだって、チカって顔してるじゃん」
妙な奴は、意外にもこの金谷と7・8年の付き合いだと。
観察上、金谷が一番鼻であしらいそうなタイプだってのに。
本人は、全く無意識で、俺が見た事ない表情でチカちゃんを見ていた。
「あ! やば、花嶋君に怒られるです!」
急に鳴った携帯に慌てて、店飛び出して行く背中に、母親のように気をつけて声かけて、金谷は一息つくとすっ……とそれまでと雰囲気を変えた。
「金谷?」
「何? 帰れば、ストーカー」
いつもの、冷めた顔。
けど、2階席から走るチカちゃんの後ろ姿を追う視線は、どっか痛そうで。
俺には立ち入れない、だから立ち入りたい気分にさせる顔だった。
「金谷ってさ、友達いねーのかと思ってた。必要ねーみたいな感じだし。アレは特別?」
「……トクベツ。だから何?」
窓から離さない、眼鏡の奥の細めた目。
こいつが、どうすれば俺を振り向くのか、今物凄いその方法を知りたいと思った。
……………………………………
第二話、というか出会い編その2.
金谷に根付いている、香野の存在は案外根深いぞ、と。そういうスタート。
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【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。