オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
朝起きたら、10時5分前だった。…つまり、9時55分。
始業時間はとっくに過ぎてる。
「あー……寝坊」
目覚まし代わりの携帯には、恐ろしいくらいの会社からの着信があり、俺は一つ溜息をつき、コールバックした。
「おはようございます、…あ、はい鈴木です。すみません、今日休みます。は? あぁ、えと病欠です。あ、いや風邪です。高熱です。はい、すんません」
事務のお局さんが小言を言ってたが、無視して通話を切ると、俺は気持ちいい快晴の空に眼を向けた。
***
「いい歳して、会社サボんなよ」
「サボりじゃなく、ズル休みです」
「同じだろ」
「サボるは、サボタージュの略ですから、全然違います」
「クビになんぞ」
「そしたら、ここで雇って下さい」
「お前、ウチの経営状況知ってんだろが」
朝昼合わせた食事をしに、マンション向かいのラーメン屋に行く。
相変わらず、客がいない。
立地条件も、麺も、スープも、こだわりがあって激旨いが、いかんせんこの店主が問題だ。
持ってる包丁とのマッチングで、確実両手分は人を殺めてそうな顔。
なので、この店は年中暇だった。
「店長、遊び行かない?」
「おめぇな、俺は生活かかってんだよ」
「俺だって。でもさ、天気いーし、なんか一日のんびりしたくない?」
髭面坊主頭の店主は、鋭い眼光で俺をひと睨みして、ネギ切りに取り掛かった。
「なんかさ、普段休みじゃない休みって、ワクワクしない? 一緒にワクワクしよーよ。二人だけの、秘密の休日。おぉ、なんかヤラしい」
「……聞けよ、話を」
呆れ返る店長は、しかし出していた具材をタッパーにしまって行く。
俺がラーメンを食い終わるまでに、調理台はすっかり綺麗に片付いていた。
「俺、海みながら昼寝がいいな」
「まだ寝るのか」
「あ、レンタカー借りに行かないとだね」
「炊いた米、おにぎりするか?」
「チャーシュー入れてよ、店長」
「おうよ」
内心ちょっと、意外だった。
この人初めて俺の誘いに、乗ったんですけど。
これに乗じて、勢い告ってもOKですか。
だから、誰も知らない場所に行こう。
秘密って言葉は、幾つになってもワクワクするもんだ。
そんな、二人だけの秘密の休日。
……………………………………
同タイトルの曲がまっきーのにあった気がしますが、これはその曲モチーフにはならなかった(笑)
最初は、学校休んで、仕事してる恋人の姿をこっそり見に行く高校生の男の子、と考えていたんですが。
なんかしっくりこないまま、勢いで書いたら、熊みたいなオッサンと駄目リーマンになりました。
この、普段人が働いている時間ののんびり感が、私は好きです。
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。